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フィリピンに向かう今年最強の台風19号と沖縄の南海上に接近中の台風20号

饒村曜気象予報士
フィリピンを襲う台風19号の眼(10月31日18時)

台風19号が令和2年(2020年)最強の台風に

 フィリピンの東海上にある台風19号は、フィリピン東海上の台風が発達する目安とされる27度以上の暖かい海域を西進し、10月30日の夕方ごろから、くっきりした小さい目を持っています。

 そして、10月30日21時以降、中心気圧が905ヘクトパスカル、最大風速が毎秒60メートル、最大瞬間風速が毎秒85メートルの猛烈な台風にまで発達しています。

 令和2年(2020年)で最強の台風となっています。

 最大瞬間風速の毎秒85メートルは、時速に直すと306キロになります。

 新幹線なみのスピードの風が吹いている台風19号は、今後も西進を続け、フィリピンを通って南シナ海に達する見込みです(図1)。

図1 台風19号の進路予報と衛星画像(10月31日21時、図中の星印が台風20号の中心位置)
図1 台風19号の進路予報と衛星画像(10月31日21時、図中の星印が台風20号の中心位置)

 台風19号の情報は、最新のものをお使いください

 台風19号は、日本には直接の影響はないと思われますが、フィリピンでは大きな災害が懸念されます。

 その台風19号のすぐ東に台風20号の雲の塊があります。

台風20号の進路予想

 マリアナ諸島からフィリピンの東海上に進んでいる台風20号も、27度以上の暖かい海域を西進しながら発達する見込みです。

 現在は、台風の眼がはっきりしていませんが、今後も西進しながら非常に強い台風にまで発達するという予報です(図2)。

図2 台風20号の進路予報(10月31日21時の予報)
図2 台風20号の進路予報(10月31日21時の予報)

 台風20号の情報は、最新のものをお使いください

 台風19号と少し離れており、藤原の効果と呼ばれる相互作用が起きる可能性は少ないという予報となっています。

 まだ先のことですが、台風予報が発表されている11月5日には、予報円や暴風警戒域は沖縄本島から先島諸島を含んでいます。

 台風20号が先島諸島を離れて通過した場合でも、非常に強い勢力まで発達していますので、沖縄県では、高波やうねりに警戒が必要となります。

 日本列島は、大きな移動性高気圧が東海上に去り、寒冷前線が通過し、その後、西高東低の冬型の気圧配置になって、関東地方は「木枯らし1号」が吹くかもしれません(図3)。

図3 予想天気図(11月2日9時の予想)
図3 予想天気図(11月2日9時の予想)

 日本列島は晩秋になっていますが、日本の南海上では、2つの台風があり、令和2年(2020年)の台風シーズンは終わっていません。

 

 引き続き台風の動向に注意が必要です。

タイトル画像、図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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