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北日本は台風12号が温帯低気圧に変わっても雨に警戒

饒村曜気象予報士
北上中の台風12号の雲と地上天気図(9月23日21時)

台風12号の北上

 台風12号が関東沖を北上中です。

 台風が発生・発達の目安の海面水温は27度以上といわれていますが、台風12号は、28度から29度の海域を進む予報です。

 このため、海面水温が27度以下の三陸沖に達するまでは、あまり衰えずに北上します(図1)。

図1 台風12号の進路予報(9月24日0時の予報)
図1 台風12号の進路予報(9月24日0時の予報)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください。

 台風12号の前面には秋雨前線があって雨が降っており、この秋雨前線に向かって、台風に伴って暖かくて湿った空気が流入しています。

 秋雨前線によってまとまった雨が降り、これに台風12号自身の雨が加わります。

 しかも、台風12号の北上速度は、自転車並みで、秋台風としては早くありません。

 このため、降雨時間が長くなることで、総雨量が多くなります。

 台風や前線の影響で、東日本から東北の太平洋側を中心に、9月25日にかけて大気の状態が非常に不安定となるため、雷を伴った激しい雨が降る見込みです。

 土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水などに警戒してください。

 また、竜巻などの激しい突風や落雷に注意してください。

早期注意情報

 9月23日は、秋雨前線によって、東北の太平洋側や関東・小笠原諸島で100ミリ以上の雨が降りました(図2)。

図2 9月23日0時から24時までの24時間降水量
図2 9月23日0時から24時までの24時間降水量

 これに24日~25日には、秋雨前線と台風12号の雨が加わる予報です(図3)。

図3 9月24日0時から25日24時までの48時間予想降水量
図3 9月24日0時から25日24時までの48時間予想降水量

 台風12号や台風12号から変わる低気圧の動向によって降水量は大きく変わりますが、太平洋側の地方を中心に大雨の可能性があります。

 気象庁では早期注意情報によって、5日先までの警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で予想しています。

 これによると、24日は関東から東北の太平洋側で、25日は東北地方で、26日は東北北部の太平洋側と北海道東部で大雨の可能性があります(図4)。

図4 早期注意情報
図4 早期注意情報

 最新の気象情報を入手し、警戒してください。

 ただ、警戒するのは、台風12号および台風12号から変わった低気圧による大雨だけではありません。

大雨後のまとまった雨

 気象庁が発表している9月25日9時の予想天気図では、三陸沖に台風12号から変わった低気圧がありますが、四国沖にも低気圧があります(図5)。

図5 予想天気図(9月25日9時の予想)
図5 予想天気図(9月25日9時の予想)

 この低気圧は、東シナ海で発生し、発達しながら四国沖に進んできた低気圧ですが、まとまった雨を降らせます。

 大雨が降った直後のまとまった雨ですので、この低気圧による雨が止むまで、警戒を続ける必要があります。

タイトル画像、図1、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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