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今週は関東甲信等の広い範囲で梅雨入りか

饒村曜気象予報士
梅雨前線に伴う雲と地上天気図(6月8日15時)

夏を思わせる暑さ

 九州の南海上に梅雨前線が停滞し、沖縄では大雨となっていますが、その他の地方では晴れるところが多くなっています。

 このため、強い日射によって気温が上昇し、各地で最高気温が25度以上の夏日となり、所によっては、最高気温が30度以上の真夏日となっています。

 令和2年(2020年)は、4月は気温が平年より低い日が多く、例年よりは夏日は少なかったのですが、5月に入ると気温が平年より高い日が多くなり、夏日が急増しています(図1)。

図1 夏日・真夏日を観測した地点数(5月1日~6月8日)
図1 夏日・真夏日を観測した地点数(5月1日~6月8日)

 そして、5月末からは夏を思わせる暑さとなり、真夏日が増えてきました。

 今年、夏日を一番多く観測したのは6月4日の714地点(気温を観測している921地点の78パーセント)、真夏日を一番多く観測したのは6月5日の297地点(32パーセント)です。

 週明けの6月8日は、これには及びませんでしたが、夏日は626地点(68パーセント)、真夏日は191(21パーセント)でした。

 これは、西日本と東海地方を中心に晴れて気温が上がったためです。

 そして、福岡県久留米市で35.8度、佐賀市で35.2度を観測し、今年全国で初めて最高気温が35度以上の猛暑日となりました。

 6月9日も関東から西日本の日本海側を中心に、夏日や真夏日、場合によっては猛暑日を観測する予想となっています(図2)。

図2 6月9日の予想最高気温
図2 6月9日の予想最高気温

週前半の暑さから週後半の雨

 週前半は、晴れることで夏を思わせる暑さとなっていますが、今週の後半からは天気が変わります。

 梅雨前線が北上してくるためで、沖縄では晴れる日が多くなり、東日本から西日本では雨の日が多くなります。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、6月10日まではお日さまマーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)ですが、6月11日以降は傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が連続します(図3)。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや二番目に低いDが多いとはいえ、6月11日に梅雨入りしそうな天気予報です。

図3 東京の16日先までの天気予報
図3 東京の16日先までの天気予報

 関東甲信地方の梅雨入りの平年日が6月8日ですので、11日に梅雨入りした場合は、平年より遅い梅雨入りということになります(表)。

表 各地の梅雨入りと梅雨明け
表 各地の梅雨入りと梅雨明け

 新潟や仙台の16日先の天気予報でも、東京と同じく、6月11日以降は傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が連続します。

 名古屋、大阪、高松、福岡では、傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が連続するのは、東京より1日早い、6月10日以降です(図4)。

図4 大阪の16日先までの天気予報
図4 大阪の16日先までの天気予報

 つまり、今週後半は、関東甲信だけでなく、東北南部から九州北部までの広い範囲で、梅雨入りの可能性があります。

 梅雨入り早々に大雨ということもありますので、気象情報に注意が必要です。

例年以上に暑さに注意

 沖縄では、梅雨前線が北上し、再び南下してこないと予想される時に梅雨明けとなります。

 那覇の16日先までの天気予報をみると、6月11日以降は、お日さまマーク(晴れ)か白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が連続しますので、梅雨明けの可能性が高くなります(図5)。

図5 那覇の16日先までの天気予報
図5 那覇の16日先までの天気予報

 沖縄の梅雨明けの平年が6月23日ですので、かなり早い梅雨明けということになります。

 梅雨明け後は、夏本番となり、真夏日が続きますので、沖縄では熱中症に対して厳重な警戒が必要です。

 また、今週後半は、広い範囲で雨が続くことで梅雨入りとなる見込みで、気温は週の前半より低くなります。

 しかし、週前半の真夏の暑さからは低いというだけで、低くなったといっても夏日の気温です(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(6月9~15日は気象庁、6月16日から24日はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(6月9~15日は気象庁、6月16日から24日はウェザーマップの予報)

 新型コロナ対策は、外出には水分補給がしにくいマスクの着用や、頻繁な換気で効率的な冷房が出来ないなど、熱中症になりやすいものが多くあります。

 また、熱中症の症状は、新型コロナウイルスに感染した時の初期症状に似ていることから、医療機関に過度の負担をかけることになります。

 熱中症対策は、夏日と聞いたら「真夏日なみ」に、真夏日と聞いたら「猛暑日なみ」に置き換え、例年より低い気温の時から始めることが必要となっています。

タイトル画像、図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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