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周辺部で風や雨が強い低気圧

饒村曜気象予報士
気象衛星からみた四国沖の低気圧(4月13日9時00分)

雨の日曜日

 令和2年(2020年)4月13日は、日本付近を南岸低気圧が通過し、北海道を除いて、ほぼ全国的に雨の日曜日になりそうです(図1)。

図1 地上天気図(4月13日9時)
図1 地上天気図(4月13日9時)

 今回の南岸低気圧は、その後ろに上空に寒気を伴なった低気圧が続いています。

 気象衛星画像でみると、大きな渦を巻いており、地上天気図では小さな低気圧としか表現されていませんが、天気を大きく左右する低気圧です(タイトル画像参照)。

 上空に寒気を伴なった低気圧は、中心付近より周辺部で風や雨が強く、中心付近より周辺部で等圧線が混んでおり、強い風が吹いています。

 また、強い雨も低気圧の周辺で降っています。

 低気圧付近だけでなく、低気圧の周辺でも警戒が必要な日曜日です。

 大雨警報に暴風警報、山沿いは大雪警報の発表にも気をつけてください。

三重県で記録的短時間大雨情報

 気象庁では、大雨警報発表中に、記録的な雨を観測したときには、「記録的短時間大雨情報」を発表して、より一層の警戒を呼び掛けています。

 これは、アメダスなどの雨量計の観測や、解析雨量と呼ばれるレーダーと雨量計を組み合わせて作成した詳細な雨量分布図をもとに発表するものです。

 雨量計での観測は、そのまま記録的短時間大雨情報で発表されますが、解析雨量での値は、10ミリごとに四捨五入し、その結果が120ミリは「約120ミリ」、それ以上は「約120ミリ以上」と表現されます。

 三重県では、4月13日2時13分に「尾鷲付近で約120ミリ」、2時27分に「紀北町付近で約120ミリ」の記録的大雨情報を発表しましたが、これらは、解析雨量による発表です(図2)。

図2 三重県南部の1時間降水量(4月13日02時30分)
図2 三重県南部の1時間降水量(4月13日02時30分)

寒冷低気圧

 上空に寒気を伴った低気圧が通過するときは、下層にすこし暖気が入るだけで大気が不安定となり、積乱雲が発達し、落雷や突風、降雹などの激しい現象が起きやすくなります。

 一般的な寒冷低気圧のように、この寒冷低気圧も動きが遅いので、大気が不安定な状態が長く続くと考えられますので、寒冷低気圧が通過するまでは、最新の気象情報に注意してください。

 寒冷低気圧が通過した今週中頃は、最高気温がいったん高くなりますが、週末は再度に、南海低気圧の通過によって雨となって気温が下がる見込みです(図3)。

図3 東京の最高気温の予報
図3 東京の最高気温の予報

 今週は、寒暖の変化が大きいので、体調管理に注意し、新型コロナ対策で忙しい医療機関の世話にならないような心掛けが必要です。

 来週は気温が高く晴天が多いという春の陽気となる見込みです。

 とはいっても、不要不急の外出自粛の継続です。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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