寒さ遠のく春分の日 例年ならば花見頃の三連休の天気
地軸の傾きが季節を作る
地球は1年間かけて太陽のまわりを公転しています。
このとき、地球の回転軸は、公転面に23.4度という傾きをもっています(図1)。
このため、冬の頃は、同じ緯度であれば、南から夜が明けますが、春分の頃は、同じ緯度であれば同じ時刻に夜が明けます。
タイトル画像の左側は、令和2年(2020年)1月1日の夜明けで、気象衛星で見ると、南東側のほうから夜が明けています。
これに対し、春分の頃の夜明けは、東のほうから夜が明けています。
太陽の光が斜めから入射する場合と、真上から入射する場合では、単位面積当たりの光の量が違いますが、地球の回転軸が傾いていることにより、より真上から太陽の光を受けることで暑くなる時期と、より斜めから太陽の光を受けることで寒くなる時期ができます。
これが、夏と冬ができる原因です。
ただ、同じ夏と冬でも、高緯度の国と低緯度の国では様相は少し違います。
高緯度の国では、冬は太陽が当たらず極端に寒くなるため、夏と冬の気温差が大きくなり、夏と秋の二季という感じになります。
逆に、低緯度の国は1年中、ほぼ太陽が真上にあって常夏という感じになるため、雨季と乾季の 二季という感じになります。
最後の寒気は3月中旬
令和2年(2020年)は、西日本で記録的な暖冬、そのほかの地方も暖冬でした。
3月に入ってからも、気温が高い日が続きましたが、中旬は、寒気が周期的に南下しています。
「沖縄・奄美のヒカンザクラ」を除いて、全国で一番早く咲いたのは3月14日の「東京のソメイヨシノ」でしたが、この日の東京は雨に混じって雪が降っています。
しかし、週の半ば以降は、気温が高い日が続く予報ですので、3月中旬の寒気は、令和2年(2020年)最後の寒気となりそうです。
最近の気温予報には誤差幅がついています。
東京の最高気温の予想の上限値をみると、多くの日で20度を超え、3月27日には25度の予想です。
最高気温が25度以上の日を「夏日」といいますので、3月なのに「夏日」を観測する可能性があります(図2)。
もっとも最高気温の下限をとると、3月28日以降は、平年を下回る可能性があるなど、まだまだ不確実性が高い予報であることが示されています。
「お花見日和」の三連休
東京でさくらが咲いた3月14日以降、全国的に寒くなったことから、続けての開花発表はありませんでした。
しかし、この寒さも17日で終わり、18日以降は暖かくなる見込みで、これから、各地からさくら開花の便りが届きそうです(図3)。
【追記(3月18日15時)】
横浜地方気象台は、3月18日の昼前に、横浜でさくらが開花したと発表しました。平年より8日早く、統計開始以来、2位タイの早い開花記録です。また、熊谷地方気象台も3月18日の昼過ぎに、熊谷でさくらが開花したと発表しました。
また、さくらの開花から満開まで1週間といわれていますので、東京では、そろそろ満開ということになります(表)。
春分の日(3月20日)を含む三連休は、さくらが咲き、晴れて気温も高いという「お花見日和」です。
新型コロナウイルスによって、例年のような花の下での宴会風景はなくなりそうですが、花をめでる気持ちを持ち続けるのは大事なことではないでしょうか。
タイトル画像、図3、表の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:饒村曜(平成26年(2014年))、天気と気象100、オーム社。
図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。