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今年最後と思われる台風29号が発生

饒村曜気象予報士
カロリン諸島の台風29号(12月22日9時)

台風29号の発生

 台風29号「ファンフォン」が、22日(日)9時にカロリン諸島で発生しました。

 「ファンフォン」は、日本も加盟している台風委員会で、ラオスが提案した名前で、意味は「動物」です。

 台風29号が発生した海域は、台風発生・発達の目安となる海面水温27度を上回る29度です。

 台風29号は、今後も発達しながら西寄りに進んでフィリピン中部を横断、26日(木)には南シナ海で強い勢力となる見込みです(図1)。

図1 台風の進路予報(12月22日9時の予報)
図1 台風の進路予報(12月22日9時の予報)

 12月にカロリン諸島で発生した台風は、西進してフィリピン中部を通過して南シナ海に進むのが多く、一部がフィリピン付近から北緯20度くらいまで北上してきます(図2)。

図2 台風の平均経路図(12月)
図2 台風の平均経路図(12月)

 台風29号の予報は、統計通り、フィリピン中部を通過して南シナ海に進む予報です。

 平成31年(2019年)に2個、令和元年(2019年)になった5月から11月までに26個発生していましたので、今回発生した台風で、合計29個の台風が発生したということになります(表)。

表 台風の発生数(2019年と平年値)
表 台風の発生数(2019年と平年値)

 そして、太平洋の熱帯域には台風29号以外の雲の塊がありませんので、平成31年・令和元年(2019年)最後の台風となりそうです(タイトル画像参照)。

 平年の台風発生数が25.6個ですので、平成31年・令和元年(2019年)は、平年より3個多かった年になりそうです。

台風の間接的な影響

 台風29号は西進して南シナ海に入りますので、日本への直接的な影響はありません。

 しかし、台風29号が南シナ海に入った後は、熱帯域に雲の塊が少なくなります。

 熱帯期の対流活動が活発ではなくなるということは、その北にある太平洋高気圧の勢力を弱めますので、日本付近に寒気が南下しやすくなります。

 周期的に寒気が南下しており、今週は、週初めと週後半に寒気が南下し、来週のはじめ(年末)にも寒気が南下します。

 年末の寒気は、北海道上空の約5500メートルでは、大雪の目安となる氷点下36度より低い、氷点下42度と非常に強いものです(図3)。

図3 上空約5500メートルの気温分布(12月31日夜の予報)
図3 上空約5500メートルの気温分布(12月31日夜の予報)

 年末年始は、全国的に寒さに注意が必要です。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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