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北海道から雪の便りも、赤道域で台風等の活動が活発化という暖冬の兆候

饒村曜気象予報士
立冬 地始凍(提供:アフロ)

平年並みの気温の晩秋

 季節外れの天気が続いた令和元年(2019年)は、高温や大雨が続いたために、いつ夏が終わったのか分からないうちに立冬(11月8日)が過ぎています。

 北海道上空には次々に寒気が南下しており、11月2日には、稚内地方気象台で日本全国で今冬初の初雪が観測され、6日には旭川地方気象台でも初雪を観測しました。

 そして、7日には札幌でも初雪が降りました。

 北海道からは続々と雪の便りが届いています

 ここへきて、平年並みの気温の晩秋となっています。

活発な台風等の活動

 日本列島は晩秋でも、北西太平洋の赤道域では夏の盛りです。

 台風や熱帯低気圧の活動が活発になっています。

 日本のはるか東海上にあって東進している台風23号は、まもなく低気圧に変わりそうですが、南シナ海には台風24号があって西進しています(図1)。

図1 専門家向けの予想天気図(11月9日9時の予想)
図1 専門家向けの予想天気図(11月9日9時の予想)

 また、フィリピンの東海上には熱帯低気圧が発生すると予想されており(図1ではTD)、日付変更線付近にも熱帯低気圧のタマゴである低圧部(図1ではL)があります。

 このように、北西太平洋の赤道域で台風等の活動が活発であるということは、ここでの上昇流によって多量の空気が上層に運ばれていることを示しています。

 上昇した多量の空気は、台風等の活動が活発な海域の北側で下降しますので、そこにある太平洋高気圧を強めます。

 つまり、北西太平洋の赤道域で台風等の活動が活発なことで、日本の南海上にある太平洋高気圧が強められ、大陸から寒気南下が起きにくくなることが予想されます。

 北西太平洋の赤道域で台風等の活動が活発なことから、暖冬の可能性があります。

3か月予報

 気象庁が発表した令和元年(2019年)11月から令和2年(2020年)1月までの3か月予報の解説資料には、現在起きているような現象が続き、大陸から寒気南下が起きにくくなることを予想しています(図2)。

図2 予想される海洋と大気の特徴(11月~1月)
図2 予想される海洋と大気の特徴(11月~1月)

 そして、気象庁の3か月予報では、全国的に気温が高いとの予報です(図3)。

図3 気温の3か月予報(11月~1月)
図3 気温の3か月予報(11月~1月)

 どの地方も、気温が高い確率が50パーセント、並みの確率が30パーセントです。

 気温が低い確率は20パーセントしかありませんので、今のところ、暖冬の可能性が高いという予報でもあります。

 「夏は夏らしく、冬は冬らしく、それも少し早めに」という気象の時が、景気に良いと言われています。

 今冬以降は、四季の移り変わりがよく分かり、災害をもたらすような激しい現象が少なくなってほしいと思います。

図1の出典:気象庁資料に著者加筆。

図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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