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台風18号が北上中 ジェット気流はまだ北

饒村曜気象予報士
台風18号の雲(9月29日3時)

台風18号の進路

 発達中の台風18号がフィリピンの東海上を北西進しています。

 台風18号は、今後向きを次第に北に変え、暴風域を伴いながら、先島諸島を通って東シナ海に入る見込みです(図1)。

図1 台風の進路予報(9月29日9時)
図1 台風の進路予報(9月29日9時)

 台風の進路予報は最新のものをお使いください。

 沖縄県先島諸島の竹富町では、30日(月)昼前から暴風域に入る確率は高まり、夕方(15時~18時)には、暴風域に入る確率は60パーセントを超えています(図2)。

図2 沖縄県竹富町が暴風域に入る確率
図2 沖縄県竹富町が暴風域に入る確率

 つまり、竹富町に台風18号が最接近すると考えられるのが、30日夕方(15時~18時)ということになります。

 台風は台風自身の風と地球が自転する影響で、ゆっくり北上する性質がありますが、台風の動きのほとんどは、上空の風によって流されるものです。

 図3は、専門家が用いる上空約9600メートルの高層天気図に、高気圧(太平洋高気圧)とジェット気流(強風が吹いている幅が狭くて細長い領域)を示したものです。

図3 台風18号を動かす2つの上空の風
図3 台風18号を動かす2つの上空の風

 台風18号は、現在、日本の南海上にある太平洋高気圧の南西側に位置しています。

このため、台風18号は、太平洋高気圧の縁辺部をまわる風に流され、北西進のち北進して沖縄県先島諸島に接近する予報です。

南下してこないジェット気流

 ジェット気流は、秋になると強まりながら南下してきます。

 このため、一般的な秋の台風は、北上をはじめると、すぐにジェット気流に流され、速い速度で北東から東北東進します。

 しかし、今年は、このジェット気流がなかなか南下してきません。

 まだ、朝鮮半島から津軽海峡までの南下にとどまっています。

 このため、台風18号は、北上をはじめても、ジェット気流の位置に達するまでは東へは進みません。

 夏台風のように、しばらく東シナ海を北上してから、向きを東に変えます。

 このため、台風18号の九州接近は10月2日になってからと予想されます。

 福岡地方が暴風域に入る確率から、福岡地方に最接近する時間帯を推定すると、2日の夜のはじめ頃(18時~21時)になります(図4)。

図4 福岡地方が暴風域に入る確率
図4 福岡地方が暴風域に入る確率

週明けの天気

 週間天気予報を見ると、週明けは台風18号の影響が全国に及んでいます(図5)。

 台風が足早に日本列島を去らないからです。

図5 週間天気予報
図5 週間天気予報

 台風18号の雨雲は、中心の南側に大きく広がっていますので、台風から離れた場所の雨雲にも注意が必要です(図6)。

図6 台風18号の風と雨の分布(10月2日15時)
図6 台風18号の風と雨の分布(10月2日15時)

 週明けは、台風情報はもとより、週間天気予報などにも注意が必要です。

タイトル画像、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図4の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料に著者加筆。

図5の出典:ウェザーマップ資料に著者加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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