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南北にたった寒冷前線としばらく続く晴天

饒村曜気象予報士
地上天気図と衛星画像(5月21日15時)

南北にたった寒冷前線

 日本列島の南北に延びる寒冷前線が、5月18日~20日に日本列島を通過しました。

 寒冷前線は、教科書などで書かれているように、低気圧から西から南西に延びることが多いのですが、今回の寒冷前線は、中国東北区にある閉塞した低気圧から、ほぼ南北に伸びている寒冷前線です(タイトル画像参照)。

 南北に延びている寒冷前線は非常に危険です。

 寒冷前線に沿って、南の暖気が一気に北上し、また、北の寒気が一気に南下することから、大雨などの激しい現象が発生しやすいからです。

 今回も、屋久島で1ヶ月分の雨量が1日で降るなど、各地で局地的な豪雨をもたらしました。

 このように、寒冷前線が南北にたったのは、日本付近をおおっていた高気圧の動きが遅かったためです。

続く晴天

 日本列島付近は長期間にわたって高気圧に覆われていましたが、南北にたった寒冷前線の通過後も、東シナ海に発生した高気圧が発達しながら東進し、再び西から高気圧に覆われてきます(図1)。

図1 予想天気図(5月22日9時の予想)
図1 予想天気図(5月22日9時の予想)

 そして、来週前半まで全国的な晴天が続く見込みです。

 春は、低気圧と高気圧が交互に通過し、天気が周期的に変わることが多いのですが、今年の場合は、高気圧が停滞しやすいことから、高気圧に覆われることが多くなっています。

 夏の太平洋高気圧のように、下層が湿っているわけではありませんので、湿度が比較的低い暖かさが続いています。

 ウェザーマップの10日間予報をみると、5月22日以降、ほぼ全国的に晴天が続いています(図2)。

図2 各地の10日間予報(天気と最高気温)
図2 各地の10日間予報(天気と最高気温)

 次に雨が降るのは、来週のはじめになりそうです。

令和最初の梅雨

 奄美地方は5月14日に、沖縄は5月16日に、ともに平年より遅く梅雨入りしましたが、南北にたった寒冷前線が南下してきた頃から梅雨前線が不明瞭となり、梅雨の中休みにはいっています(表)。

表 令和最初の梅雨
表 令和最初の梅雨

 まだ先のことであり、雨域の広がりや継続については、不確実性が大きいのですが、来週のはじめは、日本海を通る低気圧の接近で、九州北部から雨が降り始める予報です。

 ただ、この雨は今の所、長続きしなさそうですが、この日本海低気圧の雨のあと、前線が九州南部に停滞すれば、九州南部が梅雨入りになります。

 九州南部の梅雨入りの平年は5月31日ですので、このタイミングで梅雨入りになったとしても、極端に早い梅雨入りではありません。

 いずれにしても、本格的な梅雨の到来はまもなくですが、しばらくは、暖かくて湿度が低い、過ごしやすい日が続きます。

 ただ、過ごしやすい日が続くといっても、紫外線対策は必須です。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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