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高気圧の縁辺流による大雨と日本海側を中心とした暑さ

饒村曜気象予報士
屋久島の苔(ペイレスイメージズ/アフロ)

高気圧の縁辺部

 日本列島は、日本のはるか東海上にある優勢な高気圧の縁辺部という状態が続いています。

 このため、南海上から暖くて湿った空気が流入し、日本海側を中心に気温が高くなり、西日本の太平洋側では風に正対する斜面で大雨となっています。

 特に、5月18日は、鹿児島県屋久島で、日降水量が歴代2位の439.5ミリ、任意の24時間降水量が歴代3位の439.5ミリ、1時間降水量が歴代10位の99.5ミリという雨となっています(表)。

表 屋久島の雨量観測記録
表 屋久島の雨量観測記録

 屋久島での雨量観測記録は、昭和12年(1937年)10月から残されていますので、82年間の観測で2位ということは、今回の屋久島の大雨は、「50年に1度の大雨」といってよいでしょう。

 5月18日の九州南部は、高気圧の縁辺部といっても、等圧線の間隔が狭くなっている場所です(図1)。

図1 高気圧の縁辺流と気象衛星の雲(5月18日18時)
図1 高気圧の縁辺流と気象衛星の雲(5月18日18時)

 このため、湿気を運ぶ風が特に強く、風に正対する山の斜面にあたって上昇気流が強化され、豪雨となりました。

 屋久島では風向が東南東に変わった12時頃から雨足が強くなり、風向が東に変わった19時頃から雨脚が弱まっています(図2)。

図2 屋久島の雨量観測
図2 屋久島の雨量観測

梅雨前線ではない豪雨

 梅雨入りしたばかりの、沖縄・奄美地方は梅雨前線が消えて梅雨の中休みとなりますが、日本列島は、日本のはるか東海上にある優勢な高気圧の縁辺部という状態が、5月19日も続きます(図3)。

図3 予想天気図(5月19日21時の予想)
図3 予想天気図(5月19日21時の予想)

 ただ、強い雨が降る範囲が東に広がり、19日は鹿児島、宮崎、大分の各県で大雨警報が発表となる可能性があり、20日には高知、徳島の各県でも大雨警報が発表となる可能性があります(図4)。

図4 大雨警報が発表される可能性
図4 大雨警報が発表される可能性

 さらに、21日には中国東北区にある発達中の低気圧に伴う寒冷前線の通過によって、東日本でも大雨警報発表の可能性があります(図5)。

図5 降水量分布図(5月21日9時)
図5 降水量分布図(5月21日9時)

 雨に対して厳重な警戒が必要な季節になっています。

図1、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図2、表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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