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平成最後の寒波 東京の最高気温7度

饒村曜気象予報士
さくら(ペイレスイメージズ/アフロ)

東北南部まで北上

 さくらの開花前線が東北南部から新潟県にまで北上し、3月中に満開となった東京周辺は、散っているさくらも多くなってきました(図1)。

図1 さくら開花前線(ウェザーマップ4月8日発表)
図1 さくら開花前線(ウェザーマップ4月8日発表)

 順調に北上してきた「さくら開花前線」ですが、ここへきて少し足踏みです。

 これは、日本上空に寒気が入ってきたためです。

 気象庁の長期予報では、当初、4月前半に寒気が北日本を中心に南下し、4月中旬には並みの気温になるとしていました。

 しかし、ここへきて、寒気の南下は長引く予報にかわりました。

 日本上空約5500メートルには、氷点下30度という、真冬並みの寒気が南下しましたが、この寒気はまもなく日本の東海上に抜ける見込みです(図2)。

図2 日本上空約5500メートルの気温(4月9日朝)
図2 日本上空約5500メートルの気温(4月9日朝)

 しかし、3日周期ごとにやや強い寒気が北日本を中心に通過します。

 このため、北日本と東日本はしばらく気温が上がりません。

 東京の4月10日の最高気温の予想は7度です(図3)。

図3 各地の週間天気予報と最高気温
図3 各地の週間天気予報と最高気温

 翌日の11日に比べると、東京の10日は、極端に低い最高気温となっています。

 そして、今週一杯は低い気温の日が続きます(図4)。

図4 東京の4月の最高気温と最低気温(9日の最高気温から16日の予報は気象庁、17日から19日の予報はウェザーマップによる)
図4 東京の4月の最高気温と最低気温(9日の最高気温から16日の予報は気象庁、17日から19日の予報はウェザーマップによる)

(注)図3は4月9日11時発表の新しい週間予報です。また、図4を追加しました(4月9日12時)。

平成最後の寒波

 4月10日は南岸低気圧が本州の南海上を東進します(図5)。

図5 予想天気図(4月10日21時の予想)
図5 予想天気図(4月10日21時の予想)

 このため、東日本には冷たい雨が降り、東京の最高気温は7度、最低気温は5度と一日中気温が上がりません。

 図6は、コンピュータによる3種類の東京の気温変化の予想ですが、どれも、未明に最高気温が出たあと、気温が下がりっぱなしで、日中の気温はほとんどあがりません。これらの資料を基にして、東京の最高気温7度、最低気温5度という予報が出されたのです。

図6 コンピュータが計算した東京の気温変化
図6 コンピュータが計算した東京の気温変化

 花冷えを通り越して、冬の寒さですので、関東甲信地方の標高の高い地方では雪に注意が必要です(図7)。

図7 南岸低気圧による雨と雪の判別(4月10日8時)
図7 南岸低気圧による雨と雪の判別(4月10日8時)

 平成最後の寒波は、タイトル画像のように、さくらの花びらに雪が積もるかもしれません。

図1、図2、図3、図5、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁資料、ウェザーマップ資料を元に著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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