さくらの開花競争は、西日本に南下中の寒気とその後の暖気でまもなく決着
平成最後のさくらの季節
平成最後のさくらの季節が近づき、気象予報会社等では、さくらの開花予報を行っています。
気象予報会社によって、対象とするさくらの木が違ったり、予報を発表する時期が違ったりするので、簡単には比較できないのですが、ウェザーマップの予報では図1のようになっています。
3月の高温傾向でさくらの開花は平年より早いのですが、暖冬傾向で強い寒気の南下がなかったことから、休眠打破と呼ばれる開花の加速が不十分で、極端に早かった、昨年、平成30年(2018年)よりは遅くなる見込みです。
そして、注目のトップ争いは、今の所、3月20日(水曜)が予想日の福岡と高知、21日(木曜で春分の日)が予想日の東京、横浜、名古屋、岐阜の6地点です。
ちなみに、平成に入ってから、「沖縄・奄美以外での桜開花ベスト3」の回数を見ると、福岡が一番多い17回です。半分以上の年でベスト3に入っています(表1)。
週末の寒波
今冬、平成31年(2019年)の冬は、北から非常に強い寒気が南下しても北海道までということが多く、西日本の上空には強い寒気が入りませんでした。
しかし、今週末は、上空約5500メートルで氷点下30度以下という、平地で雪が降ってもおかしくないほどの強い寒気が西日本上空に南下してきます(図2)。
このため、西日本を中心に気温の低い週末となり、桜の開花は遅れます。
そして、この寒気が抜ける週明けは、南から暖気が入って急激に気温が上昇します(図3)。
週末の寒気の程度と、週明けの暖気の程度によって、さくらの開花日がきまるのですが、特に、週明けの気温の予想はブレ幅が大きく、雲が広がって気温が上がらない場合も、日射が強くて気温が上昇する場合もあり、2日位は簡単に前後します。
福岡と高知が逃げ切れるか、東京、横浜、名古屋、岐阜が追いつくか、微妙なところですが、開花から一週間が見頃ですので、多くの地方では、3月最後の土日は花見の最盛期になりそうです。
開花はあっても満開がなかった宮古島
さくらの開花日とは、観察する対象の木(標本木)で、5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日、さくらの満開日は、標本木で約 80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日をいいます。
標本木のほとんどは、そめいよしので、そめいよしのが生育しない沖縄・奄美では「ひかんざくら」、北海道の一部では「えぞやまざくら」です。
平成最後の年の宮古島のさくら(ひかんざくら)は、開花日は1月7日でしたが、満開日はありません(表2)。
これは、沖縄では記録的な暖冬となり、冬の平均気温の平年差は1.8度も高く、冬の平均気温としては、統計をとり始めた昭和21~22年(1946~1947年)の冬以降で最も高くなりましたが、このことが影響しているのではないかと考えられます。
暖かすぎたために早くから開花がパラパラと始まり、咲く時期がずれすぎて咲きそろうことがなかったためです。
6割程度咲いたところで、先に咲いたものが散り、8割には達しないということで開花はあっても満開はなしです。
沖縄本島の那覇などでも、さくらが平年より速く咲き、平年より遅く満開になるというように、さくらの花が残っている期間が長くなっています。さくらの観測が難しかったようです。
地球温暖化が進めば、「さくらが咲いても満開は無し」ということになるかもしれません。
図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:気象庁資料、ウェザーマップ資料より著者作成。
表1の出典:気象庁資料より著者作成。
表2の出典:気象庁ホームページ。