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初日の出の時刻と自軸の傾き

饒村曜気象予報士
気象衛星から見た日本の初日の出(平成31年1月1日6時40分)

地軸の傾き

 地球は地軸を23.4度傾けながら、1年間かけて太陽のまわりを公転しています(図1)。

図1 地軸の傾き
図1 地軸の傾き

 日本で一番早い初日の出は、北緯24度、東経154度にある南鳥島で、5時27分です。

 ただ、仕事で常駐している防衛省や気象庁の職員などしかいない、住民がいない島です。

 小笠原諸島の母島など、島を除くと、早い初日の出は、富士山頂の6時42分です。

 3776メートルという高地ですので、遠くまで見通せるということは、早く初日の出がおがめます。

 島や山頂を除くと、日本で一番早い日の出は千葉県の犬吠崎(いぬぼうさき)で、6時46分です。

 地軸が傾いている影響で、気象衛星から見ても、太陽の光が南東側からあたり、犬吠崎よりも東にある北海道の納沙布(のさっぷみさき)は、初日の出が少し遅れます(タイトル画像参照)。

冬型の気圧配置

 太陽の光が斜めから入射する場合と、真上から入射する場合では、単位面積当たりの光の量が違うため、北半球は太陽の方に向いている夏至の頃に一番暖められます。

 また、大陸の方が海よりも暖められるため、結果として大陸上に大きな低気圧ができやすくなります。

 これに対し、冬は、大陸の方が海よりも冷えるため、大陸上に大きな高気圧ができやすくなります。

 このため、日本の冬は、西高東低の冬型の気圧配置となり、北寄りの冷たい風が吹いて寒くなります。

 地球が暖まったり、冷えたりするには時間がかかりますので、北半球で気温が一番高くなるのは、光の量が一番多くなる夏至の頃から1か月ほどたった7月です。ただ日本の7月は、梅雨の時期で雨や曇りの日が多いため、平均気温は8月が一番高くなります。

 気温が一番低くなるのは、光の量が一番少なくなる冬至から1 〜2か月ほどたった2月です。

正月三が日の天気

 平成31年(2019年)の三が日は、西高東低の冬型の気圧配置が続きます(図2、図3)。

 このため、日本海側では雪、太平洋側では晴れという典型的な冬の天気となります。

図2 予想天気図(1月2日21時の予想)
図2 予想天気図(1月2日21時の予想)
図3 週間天気予報
図3 週間天気予報

 ただ、年末寒波のような強い寒気が入っていませんので、極端な大雪とはならない見込みですが、北日本の日本海側から北陸地方、近畿地方北部、群馬・長野・岐阜各県北部では、多い所で1日に20~30センチ雪が降り積もります(図4)。

図4 予想降雪量(1月1日9時~2日9時)
図4 予想降雪量(1月1日9時~2日9時)

十風五雨(五風十雨)

 東京都杉並区の氷川神社には、その境内に全国唯一の気象神社があります(写真)。

写真 新年を迎える気象神社(平成31年(2019年)1月1日)
写真 新年を迎える気象神社(平成31年(2019年)1月1日)

 その主祭神は八意思兼命(ヤゴロモオモイカネノミコト)は、天照大神一家を助ける知恵の神で、天の岩戸隠れや天孫降臨の時に神々の諮問に応えた神です。

 角度を変え立場を異にして思い(八意)、種々の結果を比較して総合して分別する(思兼)ということは、気象現象を解明するうえでの基本と同じことから祭神になったと思われます。

 この気象神社の例祭は、毎年、気象記念日の6月1日に行われ、「観測がうまくゆき、予報が全て的中するように」との祝詞があげられます。ただ、気象庁とは全く関係がありません。

 平成30年(2018年)は極端な現象が多かったのですが、平成最後で新元号元年は、十風五雨(じっぷうごう)という10日ごとに風が吹き、5日ごとに雨がふるという年、あるいは、五風十雨(ごふうじゅうう)の年、いずれも、世の中が平和でおだやかな例えの通りの年になりますように。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウエザーマップ

図2の出典:饒村曜(平成27年(1915年))、天気と気象100ー一生付き合う自然現象を本格解説ー、オーム社。

写真の出典:著者撮影。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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