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秋のように高気圧と低気圧が交互通過

饒村曜気象予報士
地上天気図(平成30年12月17日21時)

真冬日が0

 冬の訪れが遅いと言われた平成30年(2018年)も、12月に入ると西高東低の冬型の気圧配置になって寒気が南下することが多くなっています。

 12月14日には西高東低の冬型の気圧配置となって全国的に寒くなりましたが、大陸にある高気圧が移動性高気圧となって日本付近を通過し、その後、東シナ海に低気圧が発生しました。

 この低気圧が本州の南海上を発達しながら通過した12月17日は、北日本まで暖気が入って、全国で最高気温が0度以上となりました。ちなみに、前日の12月16日は2地点の最高気温が0度以上になりませんでした。

 つまり、真冬日(最高気温が0度未満の日)の観測地点数が12日ぶりに0地点となったのです(図1)。

図1 全国の真冬日と冬日、今季最低を観測した地点数(平成30年(2018年)12月)
図1 全国の真冬日と冬日、今季最低を観測した地点数(平成30年(2018年)12月)

 しかし、12月18日は西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下し、北日本の日本海側や北陸地方では雪となりました。

 ただ、この冬型の気圧配置は長続きしません。大雪の目安とされる上空5500メートルで氷点下36度という強い寒気は、北海道付近までしか南下しない見込みです。

移動性高気圧

 一般的に、秋は移動性高気圧と低気圧が交互に通過し、「男心(女心)と秋の空」と言われるように、天気は周期的に変わります。

 これに対し、冬は大陸の高気圧が日本付近に張り出し、冬型の気圧配置が長続きします。

 しかし、12月19日には、大陸から高気圧が移動してきます(図2)。

図2 予想天気図(12月19日9時の予想)
図2 予想天気図(12月19日9時の予想)

 そして、移動性高気圧が通過したあとには、また東シナ海で低気圧が発生しそうです。

 つまり、冬に入ったといっても、秋のように、移動性高気圧と低気圧と交互に通過することが続いています。

 冬にはなりきっておらず、猛暑の夏から続く暖かさが続いているのかもしれません。

暖かい一週間

 寒かった先週と一転して、今週は全国的に暖かい一週間となりそうです。

 東京では、12月16日に最高気温5.8度、最低気温0.4度という真冬でもめったに経験しない寒さとなりましたが、今週は誤差幅を考えて低い場合をとっても、初冬としては気温が高い一週間になりそうです(図3)。

図3 東京の12月の気温変化(12月18日以降は週間天気予報)
図3 東京の12月の気温変化(12月18日以降は週間天気予報)

 各地の週間天気予報をみても、北日本は冬の天気ですが、東~西日本は、日本海側の地方で雨か雪、太平洋側の地方で晴れが続くといった冬の天気というより、晩秋の天気です(図4)。

図4 各地の週間天気予報
図4 各地の週間天気予報

タイトル画像、図4:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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