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等圧線の間隔が狭い北日本と山陰で強い風と寒気の南下

饒村曜気象予報士
急流と清流(「雨と風の事典」より)

冬型の気圧配置で暴風

 日本海の低気圧が東進し、北海道の東海上で発達する見込みです。

 このため、西高東低の冬型の気圧配置となって強い寒気が南下し、北日本を中心に風が強まります。

 気象庁は5日先までの暴風(暴風雪)、波浪、大雨、大雪の警報を発表する可能性についての情報を発表しています。

 例えば、現在、秋田市には強風注意報が発表となっていますが、7日明け方までに暴風警報に切り替える可能性が高いとしています。

 また、7日3時からは陸上で18メートル以上の風が吹き、7日は終日警報級の可能性が高いとしています(図1)。

図1 秋田市の強風注意報と警報級の可能性(いずれも12月6日夕方に発表)
図1 秋田市の強風注意報と警報級の可能性(いずれも12月6日夕方に発表)

 図1は12月6日夕方発表の秋田市の強風注意報と警報級の可能性ですが、ほぼ同様のものが、6日の午前中にはすでに発表となっています。

 また、秋田市以外でも北日本や北陸で該当する市町村には、このような情報が発表されています。

 このように、事前に警報級の可能性を発表するのは、就寝前に危険であるということを知らせることで、就寝中に災害にみまわれる可能性を減らすためです。

 警報級の可能性については、「高」と「中」の2種類があります。

「高」:警報を発表中、又は、警報を発表するような現象発生の可能性が高い状況です。

「中」:「高」ほど可能性は高くありませんが、命に危険を及ぼすような警報級の現象となりうることを表しています。

 例えば、強風注意報が発表中の金沢市では、7日明け方までに警報の可能性はすくないものの、7日の日中から8日は警報の可能性が中程度としています。

等圧線の間隔が狭いと風が強い

 地図で、等高線の間隔が混んでいるところは傾斜が急で、川の流れが早くなっています。反対に等高線の間隔があいているところは傾斜がゆるやかで、川はゆっくりと流れています(タイトル画像参照)。

 空気の流れ(風)も同じです。

 等圧線の混み具合を気圧傾度といいますが、気圧傾度が大きい所で空気が早く動く、つまり強い風が吹いています。

 逆に等圧線がまばらな場所、つまり気圧傾度が小さい所では弱い風が吹いています(図2)。

図2 気圧傾度と風の関係
図2 気圧傾度と風の関係

 ただ、川の流れと違う点は、地球の自転の影響と摩擦力の影響をうけて、まっすぐに気圧の低いところにはむかわないことです。北半球では、気圧の低い所(低気圧の中心)を反時計回りにまわりこむように風が吹いています。

 また、地球の自転の影響は緯度によって違いますので、同じ気圧傾度でも、緯度が低くなればなるほど風が強くなります。

寒気の南下は北日本と山陰

 12月8日の西高東低の冬型の天気図では、等圧線が混んでいるのは北日本と山陰地方です(図3)。

図3 予想天気図(12月8日9時の予想)
図3 予想天気図(12月8日9時の予想)

 つまり、北寄りの風が強いのは、北日本と山陰地方です。

 風が強い分だけ強い寒気が南下しますので、北陸地方の新潟や金沢は雨でも、山陰地方の松江は雪となります(図4)。

図4 12月7日の天気予報(12月6日17時気象庁発表)
図4 12月7日の天気予報(12月6日17時気象庁発表)

 暖かい日が続いていましたが、これから平年並みの冬となります。

 寒暖差が大きい日が続きますので、体調管理には十分気を付けてください。

タイトル画像、図2の出典:饒村曜(平成16年(2004年))、雨と風の事典、クライム。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページの図に矢印を加筆。

図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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