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記録的な暖かさのあとは強い寒気の南下

饒村曜気象予報士
12月4日12時の地上天気図と暖気流入

記録的な12月の暑さ

 今年、平成30年(2018年)は夏の記録的な猛暑から暑い秋と、気温が高い傾向が続いていましたが、12月に入っても、気温が高めに推移しています。

 12月4日は、日本海の前線に向かって、南から暖かい空気が強く流入したため全国的に気温が上昇しました(タイトル画像参照)。

 沖縄県鏡原で最高気温が29.8度を観測するなど、全国の気温観測地点の7%に相当する67地点で、日最高気温が25度以上の夏日となっています。

 福岡で26.0度、和歌山で25.3度、大分で25.0度と、ともに約130年の観測記録がある県庁所在地でも史上初めて12月の夏日となっています。

 また、長野市で21.7度など、全国の気温観測地点の約4割で、12月の最高気温の記録を更新しています。

 東京都心は23.4度と夏日にはなりませんでしたが、これでも、12月としては第5位の記録です。

北日本に寒気南下

 12月5日は、北海道を通過した低気圧が千島列島北部で発達し、日本海にあった寒冷前線が南下して日本列島を通過します(図1)。

図1 予報天気図(12月5日9時の予想)
図1 予報天気図(12月5日9時の予想)

 このため、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下してきます。

 寒気が流れ込む北日本や北陸~山陰の日本海側では気温が下がり、札幌は朝の最低気温0度、日中の最高気温3度の予想です。

 前日(4日)の最高気温が12.7度ですから、1日で約10℃低くなる最高気温の予想です。また、前日(4日)の最低気温7.5度より低い最高気温の予想です。

 一方、西日本や東日本は寒冷前線が通過したといっても寒気が大きく南下してきませんので、暖かさが続きます。そして、一時的に南から暖気が入り、一時的に気温があがります。

 しかし、週末に強い寒気が東・西日本に南下してきます(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温(12月9日夜)
図2 上空約5500メートルの気温(12月9日夜)

 上空約5500メートルで氷点下36度以下というのが大雪の目安です。真冬でも何回も出現しない氷点下36度以下という寒気が北海道まで南下してきます。

週末の寒波

図3は、気象庁の週間天気予報をもとに、最低気温と最高気温の予想を交互に並べた図です。

図3 東京の12月の気温(5日以降は週間天気予報)
図3 東京の12月の気温(5日以降は週間天気予報)

これによると、寒気の南下(第一寒波)により東京でも5日以降気温が下がるものの、まだ平年より高い気温です。

週末の第二寒波で、平年並の気温である、最高気温が10℃前後、最低気温が5℃以下まで下がる見込みです。

 寒波によって寒くなるといっても、平年並みの寒さです。

 しかし、寒暖差が大きく、体調を崩しやすい一週間であることには変わりがありません。

 健康管理のため、気象情報に十分注意してください。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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