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天気の回復が遅れた関東地方も爽やかな秋に

饒村曜気象予報士
イチョウの紅葉を楽しむ日本人女性(写真:アフロ)

関東地方は北高型

 中国大陸から次々に高気圧が移動してきたことから、全国的には晴れの週末だったのですが、関東地方は曇りや雨となって天気の回復が遅れました(図1)。

図1 地上天気図(10月13日15時)
図1 地上天気図(10月13日15時)

 一般的に、高気圧に覆われると晴れるといわれますが、高気圧の中の天気は一様ではありません(図2)。

図2 移動性高気圧と天気
図2 移動性高気圧と天気

 このため、中国大陸から日本付近へ移動してくる高気圧(移動性高気圧)がどのようなコースを進むかによって日本の天気は変わります。

 一般的には、北緯35度付近を西から東に進む場合は、ほぼ全国的に晴天となりますが、これより北を東進する場合は、北日本を中心とする晴天です(図3)。また、これより南側を東進する場合は、晴天は関東から西の地方だけで、日本海北部から関東地方に進む場合は、全国的に晴天ですが気温は上がらず寒い日になります。

図3 移動性高気圧のコースと天気変化
図3 移動性高気圧のコースと天気変化

 週末に日本列島を通過している高気圧は、関東地方にとってみると、北に高気圧がある「北高型」とよばれる天気図で、南岸にある前線や前線上に発生した低気圧の影響で曇りや雨の天気が続きました。

 ただ、図2の説明図のように、移動性高気圧のあとに暖気が入って低気圧が通過するという一般的なパターンではなく、移動性高気圧のあとも寒気が入って次の高気圧が通過するパターンです。

 このため、西日本は引き続き晴れ、関東地方も次第に晴れてきます。

週間天気予報では

 本州の南海上の前線が次第に遠ざかり、本州上には冷涼で乾燥した空気を運ぶ次の移動性高気圧がやってきます。

 北日本から北陸地方の上空5500メートルでは、氷点下18度という寒気が南下してきますが、この時期としては、強い寒気ではありませんが、平年並みか平年より低い秋の気温となります(図4)。

 殺人的と言われた暑さ、湿度の高くて過ごしにくいと言われた暑さが、ようやく終わります。

図4 予想天気図と5500メートル上空の寒気の南下
図4 予想天気図と5500メートル上空の寒気の南下

 各地の天気と最高気温の予想を見ても、晴れのところが多くなり、東日本の太平洋側から西日本では、最高気温が20度前後となり、北日本では20度を下回ってきます。

図5 各地の天気と最高気温の予想
図5 各地の天気と最高気温の予想

 東京の10月の最高気温・最低気温は、これまではともに平年を上回っていましたが、これからはともに平年を下回る日が多くなります(図6)。

図6 東京の10月の最高気温と最低気温
図6 東京の10月の最高気温と最低気温

 ようやく行楽に適した爽やかな秋になりそうですが、台風24号による塩風害(塩害)によって葉が枯れ、紅葉が残念な観光地も少なくないと聞きます。

 いろいろな自然現象に振り回された平成30年ですが、季節は着実に進んでいます。 

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:饒村曜(平成24年(2012年))、お天気ニュースの読み方・使い方、オーム社。

図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図6の出典:気象庁ホームページにある気温観測資料と平年値に、ウェザーマップ提供の気温予報値を加えて著者作製。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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