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大きな眼の台風24号は、中心から離れていても警戒

饒村曜気象予報士
台風24号の雲と地上天気図(9月30日6時)

 大型で非常に強い台風24号が西日本を襲っています(図1)。

図1 台風24号の進路予報
図1 台風24号の進路予報

 台風24号の進路予報は、最新のものをお使いください。

CDではなくドーナッツ

 台風24号は、気象衛星「ひまわり」やレーダーの画像から見ると、眼が非常に大きな台風です(図2)。

図2 台風24号のレーダー画像(9月30日9時00分)
図2 台風24号のレーダー画像(9月30日9時00分)

 Yahoo!の記事で、森さやかさんが分かりやすく解説されている「環状台風(annular typhoon)」ではないかと思います。

 30年以上前に気象庁で予報官をしていたころ、「一般的なレコード盤型の台風ではなく、ドーナッツ型の台風」という言い方をしていました。

 今だったら、「CD型の台風ではなく、環状台風」というのでしょうか、多くの人が持っている台風のイメージとは違う台風であるため、台風情報をどう書いたら、うまく伝わるかという事に苦労したことを思い出しました。

 このタイプの台風は、台風接近前の早い段階から強い風が吹いたり、台風の中心付近にいるのに強い風が長時間吹かず、油断しているところに吹き返しの強い風が吹いたり、通過後に吹き返しの風のほうが強かったり、台風の進行方向左側にいるのに風が強い場所があったりするからです。

 加えて、台風が上陸しても、急速には勢力が落ちないからです。

 台風24号が接近した沖縄では、台風が少し離れている段階で強い風が吹いています。また、那覇市では台風が接近して5時間位風が比較的弱くなったあと、台風が少し遠ざかった18時過ぎに最大瞬間風速53.1メートルを観測しています(図3)。

図3 那覇市の気圧の変化と毎秒20メートル以上の強い風が吹いた時間帯
図3 那覇市の気圧の変化と毎秒20メートル以上の強い風が吹いた時間帯

 大きな眼をしている発達した台風は、過去の例にとらわれず、最新の台風情報を入手し、十分な警戒が必要です。

台風24号を追う25号

 9月29日にマリアナ諸島近海で発生した台風25号は、台風24号の後を追うように西進しています(図4)。

図4 台風24号の雲と台風25号の雲(9月30日9時00分)
図4 台風24号の雲と台風25号の雲(9月30日9時00分)

 台風25号の進路予報は、気象庁から沖縄の南海上に達する5日までしか発表となっていませんが、日本周辺の気圧の場が大きく変化していませんので、その先、台風24号の後を追うように北上してくことは、十分考えられます(図5)。

 

図5 台風25号の進路予報
図5 台風25号の進路予報

 台風25号の進路予報は、最新のものをお使いください

 今日は、全国的に台風24号に対する警戒が必要ですが、台風24号が通過した明日以降は、すぐに、台風25号に対する警戒が必要です。

 今年は、10月も台風シーズンです。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図5の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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