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残暑と秋が同居 東北地方南部から北陸地方に秋雨前線が停滞

饒村曜気象予報士
気象衛星から見た秋雨前線(8月26日6時)

活発な前線

 台風19号から変わった低気圧が日本の東海上に去り、台風20号から変わった低気圧も弱まりながら北海道を通過中です。

 そして、台風19号から変わった、日本の東海上の低気圧から前線が、東北地方南部、北陸地方を通って朝鮮半島に延びています。

 前線の北側の北海道では気温が平年を下回って秋の気配ですが、前線付近の気温は平年並みで、曇りや雨のところが多くなっています。

 特に、北陸~東北地方の日本海側では、前線に向かって東シナ海や南シナ海の熱帯低気圧付近から、暖かくて湿った空気の流入によって活発となった前線活動によって、明日、27日(月)の夜まで大雨に対する警戒が必要です(タイトル画像、図1)。

図1 山形県酒田市(庄内地方)と新潟県新潟市(下越地方)の警報の可能性(8月26日5時発表)
図1 山形県酒田市(庄内地方)と新潟県新潟市(下越地方)の警報の可能性(8月26日5時発表)

 一方、前線の南側の東日本の太平洋側では、高気圧に覆われ、晴れて強い日射により気温が上昇し、体にこたえる残暑(猛烈残暑)となっていますので、暑さ対策が必要な日々が続きます。

 8月26日(日)の全国の最高気温の予想でも、関東から西の地方では体温を超える猛烈な暑さを予想しています(表)。

表 全国の最高気温の予想ランキング(8月26日)
表 全国の最高気温の予想ランキング(8月26日)

 暦の上では、暑さがおさまるころとされる処暑(8月23日)をすぎていますが、西日本を中心とした暑さはなかなかおさまりません。

秋雨前線

 東北地方から北陸地方に延びる前線は、しばらく、この場所で停滞する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(8月27日21時の予想)
図2 予想天気図(8月27日21時の予想)

 秋の停滞前線、つまり秋雨前線の登場です。秋雨前線は、梅雨前線と同様に、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧の間にできますが、徐々に北上する梅雨前線と違って、徐々に南下します。

 梅雨期間の雨量と秋雨期間の雨量を比べると、西日本では梅雨期間の雨量が多いのですが、東日本では秋雨期間の雨量のほうが多くなります。東日本を中心に秋雨に注意する季節が始まります。

週間天気予報では

 週間天気予報によると、日本列島の天気は大きく3つにわかれます。

 新潟など北陸地方は、秋雨前線によって一週間以上にわたって雨が主体の天気が続き、秋雨前線の北側にある北日本では、曇りが主体の天気が続き、最高気温も平年よりやや低くなって30度を下回ってきます。つまり、真夏日はなくなり、秋の気配が続きます(図3)。

図3 週間天気予報
図3 週間天気予報

 一方、東日本の太平洋側から西日本は、週の半ばくらいまで最高気温が35度以上の猛暑日が続きます。週の後半は曇りや雨の日が多くなってきますが、それでも最高気温は30度以上の真夏日です。

 また、沖縄地方では、台風という形ではありませんが、南から次々に発達した積乱雲が北上してきますので、ときおり、激しい雨が降ります。

 狭いといわれる日本列島ですが、今週は地方によって天気が大きく異なりますので、夏休み最後の旅行を考えているかたは、旅行地の天気や気温などの情報を入手し、安全で快適な旅行を心がけてください。

タイトル画像、図3、表の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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