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記録的な猛暑をひと休みさせる上空寒気と台風12号の接近

饒村曜気象予報士
水蒸気画像で見た台風12号(7月25日6時40分)

記録的な猛暑

 優勢な太平洋高気圧におおわれ、記録的な猛暑が続いています。

 平成30年(2018年)7月23日には埼玉県・熊谷市熊谷で41.1度と国内観測史上最高となる41.1度を観測し、東京都・青梅市青梅でも都内初の40度超えである40.8度を観測しました。

 全国で最高気温が35度以上の猛暑日となった回数は、全国927箇所のアメダス気温観測所の累計で2796回となりました(図1)。

図1 全国の猛暑日の年初からの累計回数
図1 全国の猛暑日の年初からの累計回数

 これは、梅雨明けが全国的に早いこともあって、近年には類をみない早い増加です。

 熊谷市が41.1度の記録をだすまで、日本最高記録を持っていた高知県四万十市江川崎で41.0度が観測された平成25年(2013年)でも、7月24日まででは1000回にも達していません(江川崎の記録は8月12日に観測)。

 これからも猛暑日が続く暑い夏という予報ですが、これから週末にかけては、上空の寒気と台風12号によって記録的な暑さはひと休みしそうです。

日本列島上空に寒気が通過

 優勢な太平洋高気圧におおわれている日本列島ですが、これから週末にかけ、日本の東海上を南下していた上空の寒気の一部が西進して通過します(図2)。

図2 約5000メートル上空の氷点下6度の寒気
図2 約5000メートル上空の氷点下6度の寒気

 上空約5000メートルで氷点下6度という寒気は、冬場ではたいしたことはありませんが、地上付近の気温が40度近い夏場では、大気が不安定となって積乱雲が発達し、雷雨が発生する寒気です。

 雷雨の発生は局地的ですが、雨が降った場所は打ち水をした状態になって、そのあと気温が下がります。

 そして、台風12号の接近です。

台風12号が東日本接近か

 台風12号が7月25日3時に、日本の南海上(沖ノ鳥島近海)で発生しました。

 この台風12号は、北東に進んだあと向きを西よりに変え、週末には発達しながら東日本に接近する予報です(図3)。

図3 台風12号の進路予報
図3 台風12号の進路予報

台風情報は常に新しいものを利用してください。

 台風が発生したばかりで、予報が難しい段階です。加えて、上空の寒気に伴う渦との相互作用(藤原の効果)で進路予想が難しくなる可能性もあります。

 このため、台風の進路予報の予報円が大きいのですが、週末には台風が東日本にかなり接近しそうです。

 

 週末は花火大会など、各地で沢山のイベントが計画されています。しかし、雷雨の心配、そして台風の心配があります。

 今後10日間の天気と気温の予報によると、週末の上空寒気や台風12号の影響のあと、週明けは再び暑い日が戻ってくる予報ですので、猛暑の心配が再びあります。

図4 主要都市の10日間の天気と気温の予報
図4 主要都市の10日間の天気と気温の予報

 気象情報の入手につとめ、安全で健康に、そして楽しく夏を過ごして欲しいと思います。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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