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今年の台風のクセは、まず沖縄

饒村曜気象予報士
気象衛星カラー画像(平成30年7月19日21時、ウェザーマップ提供)

平成30年前半の台風

 平成30年(2018年)7月18日に台風10号が発生しました。平年の7月末日までの台風発生数は7.7個ですので、平年の同時期より多い台風発生ペースです(表)。

表 平成30年の台風発生数、接近数、上陸数
表 平成30年の台風発生数、接近数、上陸数

 また、台風の上陸数(九州・四国・本州・北海道に台風の中心が達した数)は今のところ0個ですが、接近数(全国のいずれかの気象官署より300km以内に接近した数)はすでに4個と、発達しながら沖縄に接近する予想の台風10号を加えると、平年の7月末までの3.7個より多くなっています(図1)。

図1 台風10号の進路予報(7月20日0時の予報)
図1 台風10号の進路予報(7月20日0時の予報)

台風の進路予報は、常に最新のものを使ってください

年ごとの台風のクセ

 台風には、通りやすい海域が片寄るなど年によるクセがあります。

 これは、太平洋高気圧の位置や強度が大きく変化しないことから、その年は同じような場所で発生し、同じような進路をとりやすいからです。

 今年、平成30年(2018年)前半の台風は、太平洋高気圧の南で次々に発生し、西進して沖縄近海に来るというクセがあります。

 沖縄近海に来たあとの台風は、太平洋高気圧が弱ければ北上から北東進、強ければ西進などに分かれます。

 例えば、6月に沖縄に接近した台風5号と台風6号は太平洋高気圧が南海上に後退していたため、偏西風にのって北東進していますが、7月の初めの台風7号は、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧と勢力が拮抗していたこともあり、東シナ海を北上し、対馬海峡から日本海に進み、「平成30年7月豪雨」の一因にもなっています。

 その後、太平洋高気圧が強まった頃の7月10日に接近した台風8号は偏東風に乗って北西進し、中国大陸に上陸しています。また、台風10号も偏東風に乗って中国大陸に上陸する予報です(図2)。

図2 平成30年に日本に接近した台風5号、6号、7号、8号の経路図
図2 平成30年に日本に接近した台風5号、6号、7号、8号の経路図

 台風10号の東海上にも雲の塊があります(図3)。

図3 気象衛星「ひまわり」の赤外画像(7月20日0時)
図3 気象衛星「ひまわり」の赤外画像(7月20日0時)

 この雲の塊の中から台風が発生するかどうかはわかりませんが、もし、台風が発生し、今年のクセのとおりとすると、この台風は沖縄付近に接近するかもしれません。そして、その時の太平洋高気圧の状況によっては沖縄付近から北上するかもしれません。

 今週末の7月21日に沖縄に接近する台風10号に対して、暴風や大雨、高波に厳重な警戒が必要ですが、台風10号の東海上にある雲の塊に対しても注意が必要です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

表、図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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