北海道は蝦夷梅雨ではない本当の梅雨に警戒を
梅雨のない北海道と蝦夷梅雨
北海道には梅雨がないといわれ、気象庁の梅雨入り・梅雨明けのリストには北海道は入っていません。
北上する梅雨前線が北海道を通る頃には弱まったり、しかも足早であることから北海道では、梅雨と呼ばれる現象が顕著ではないからです。
しかし、年によっては、梅雨に似た現象が現れることがあります。オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の境目である梅雨前線が、東北地方まで北上して停滞しているとき、雨雲が北海道南部にかかることで、本州の梅雨のように、湿度の高い雨や曇りの日が続くときです。ただ、希な現象であるということで、北海道では梅雨がないとされてきたのです。
一方、蝦夷梅雨(えぞつゆ)という言葉があります。5月下旬から6月上旬にかけ、オホーツク海高気圧の影響を受け、湿度が高くて小雨や曇りの日が10~15日ほど続き、日照不足になる現象です。時には急に冷え込み、肌寒くなるので、「リラ冷え」とも言われます。リラ(ライラック)の花が咲く頃の現象だからです。
梅雨と蝦夷梅雨(リラ冷え)は違うものです。東北北部まで梅雨に入ったから、そろそろ北海道も蝦夷梅雨に、ということにはなりません。
増えてきた北海道の梅雨
一昔前までは、北海道では梅雨に似た現象は希でした。しかし、北海道でも気温が上昇し、湿度が高くなって梅雨に似た現象が現れやすくなり、時として大雨が降ることがあります。
梅雨末期の大雨といってよい現象が、北海道でも現れやすくなったのです。
今年、平成30年(2018年)は、北海道でも梅雨という現象が顕著におきています。
北海道の6月の雨
梅雨のないとされる北海道は、例年、降水量が一番少ないのが6月です。しかし、平成30年(2018年)6月は、前線が停滞し、その上を低気圧が通過することが多かったことから、各地で記録的な大雨となりました(表)。
北海道の225ヶ所の雨量観測所のうち、月降水量が6月の史上1位となったのが21ヶ所、史上2位が49地点、史上3位が26地点と、3位以上の記録となった地点は合計96地点(約40%)もありました。
また、札幌でも6月としては統計史上初めて3日も30ミリ以上の雨が降りました(8日、12日、27日)。
北海道ではこれから梅雨末期豪雨の恐れ
北海道では、6月の記録的な雨に続いて、7月も前線が停滞して雨の日が多くなっています(図1)。
加えて、東シナ海にある台風7号が北上し、日本海を通って北海道に接近する見込みです(図2)。北海道に接近する前に温帯低気圧に変わる可能性もありますが、台風が持ち込む大量の水蒸気によって大雨となる危険性は変わりません。
台風の進路予報は、常に最新のものを利用してください。
北海道では6月の雨で地中に大量の水分が溜まっており、土砂災害の危険性が高まっています。
これに加えての7月も雨の日が続きますので、しばらくは、雨に対して厳重な警戒が必要です(図3)。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:ウェザーマップ提供。
表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。