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大阪で震度6弱 今日深夜からの大雨に警戒

饒村曜気象予報士
6月19日の大阪府北部地震による推計震度分布

大阪府北部地震

 6月18日7時58分頃に大阪府北部で最大震度が「震度6弱」、京都府南部で最大震度が「震度5強」という地震が発生しました。タイトル画像は、このときの推計震度分布で、近畿地方の広い範囲で震度4以上を観測しました。

 震度6弱を観測したのは、大阪市北区や大阪府の高槻市、枚方(ひらかた)市、茨木市、箕面(みのお)の5市区です。

 大阪府で震度6弱を観測したのは、観測体制が整った大正12年(1923年)1月以降、初めてのことです。

 大阪府や京都府で揺れが大きかった地域では、地盤が脆弱になっている可能性が高いため、雨による土砂災害の危険性が通常より高いと考えられます。

このため、気象庁では、地震が発生するとすぐに大阪府、京都府のうち震度5強以上を観測した市町について、各気象台が発表する大雨警報・注意報の発表基準(土壌雨量指数基準)を通常基準より引き下げるという暫定基準を設けました。通常よりも警戒を高めるためで、当分の間の措置です。

表 大阪府北部の地震による大雨警報等の暫定基準
表 大阪府北部の地震による大雨警報等の暫定基準

大地震のあとの雨ではなく大雨

 沖縄付近に停滞していた梅雨前線が、太平洋高気圧の強まりとともに北上しています。

 このため、本州付近に北上した梅雨前線の活動が活発になる見込みです。梅雨末期の大雨のパターンです(図1)。

図1 予想天気図(6月20日9時の予想)
図1 予想天気図(6月20日9時の予想)

 気象庁では、大地震のあとは、少しの雨でも地盤が脆弱ということで、大雨警報等の発表基準を下げて運用していますが、今回は基準を下げなくて警報の可能性があるということで、厳重な警戒が必要です。大阪府で20日に大雨警報が発表となる可能性は「中」です(図2)。

図2 大阪府の警報級の可能性
図2 大阪府の警報級の可能性

 しかも、大雨の可能性があるのは、今日深夜からです(図3)。

図3 大阪府枚方の時系列予報
図3 大阪府枚方の時系列予報

 深夜の大雨は、避難が遅れがちになるなどで、これまで多くの大災害が発生してきた、非常に危険な時間帯の大雨です。

 大雨に備え、厳重な警戒をする必要がありますが、対策を取る時間は、今日の日中しか残されていません

 対策を急がないと、地震の被害以上の二次災害が発生する懸念があります。

 6月20日の雨は、大阪だけの大雨ではありません。西日本を中心の大雨で、各地で注意が必要な雨です(図4)。

図4 6月20日朝の雨の分布
図4 6月20日朝の雨の分布

 そして、雨域は東日本にも広がります。

 週間天気予報によれば、東日本から西日本にかけて、梅雨らしく雨の日が続きますので、気象情報に注意が必要な一週間になります(図5)。

図5 東京都と大阪府の週間天気予報
図5 東京都と大阪府の週間天気予報

タイトル画像、図1、図2、図5の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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