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今週は関東でも梅雨入り、即、梅雨末期の豪雨の心配

饒村曜気象予報士
雨傘(ペイレスイメージズ/アフロ)

関東でも梅雨入り

 今週の週初め、月曜日は梅雨前線が沖縄付近に停滞し、沖縄では雷雨に注意が必要ですが、その他の地方では、晴れて、特に北日本では気温が上昇します。

 北海道の札幌と旭川の最高気温の予想はともに30度と、沖縄県の那覇の最高気温の予想30度と同じです。

表 平成30年(2018年の梅雨入り)
表 平成30年(2018年の梅雨入り)

 ほぼ全国的に夏を思わせる天気ですが、5日(火)以降は梅雨前線が北上し、曇や雨の日が多くなります。このため、5日から6日(水)にかけて、中国地方から関東甲信は続々と梅雨入りの発表となりそうです。

 平年よりは、若干早い梅雨入りになりそうです。

図1 東京地方と大阪府の週間天気予報
図1 東京地方と大阪府の週間天気予報

 関東地方以西が梅雨入りしたといっても、例年の梅雨入りとは違って、梅雨末期のような豪雨の可能性が高い状態での梅雨入りです。

 今年、平成30年(2018年)は、5月に梅雨前線は北に大きく押し上げられて全国的に梅雨明けを思わせるような高温となったり、東北地方で梅雨末期を思わせるような豪雨が降ったりしました。

 今年の季節変化は乱れているという特徴がありますので、油断できません。

梅雨末期の豪雨

 梅雨末期は、梅雨初期に比べて豪雨が発生しやすく、災害も多くなります。

 これには理由が2つあります。

 一つは、気温が高くなり、大気中に多くの水蒸気を含むようになるからです。

 大気中に含むことができる水蒸気の量は、1立方メートル当たり、15度で12.8グラム、20度で17.3グラム、25度で23.0グラム、30度で30.4グラムと、気温が高くなると急速に増加します。

 東京の平年の平均気温は、梅雨入りの頃で20度、梅雨明けの頃で25度位ですから、梅雨入りの頃の大気に含まれる水蒸気量の5割増しが梅雨末期の大気に含まれる水蒸気量です。それだけ、梅雨末期は豪雨が発生しやすいといえます。

 もう一つは、梅雨末期は台風の発生数が増え、日本に台風が襲来する可能性が梅雨入りの頃より高くなることです。

 梅雨前線に台風が接近すると、梅雨前線を刺激して豪雨となります。台風が熱帯からの多量の水蒸気を持ち込むからです。

 今年の梅雨入りは、梅雨末期のように気温が高い状態での梅雨入りであり、しかも、フィリピンの東海上で台風が発生し、日本に近づく可能性があります。

 つまり、梅雨入り、即、梅雨末期の豪雨に警戒です。

今週は台風に警戒

 熱帯低気圧が東シナ海とフィリピンの東海上にあり、ともに台風まで発達する可能性があります。

図2 予想天気図(6月5日9時の予想)
図2 予想天気図(6月5日9時の予想)

 このうち、日本に直接影響しそうな熱帯低気圧はフィリピンの東海上のものですが、南シナ海にある熱帯低気圧も中国大陸に上陸後、温帯低気圧に変わるとおもいます。しかし、この温帯低気圧は、台風からの湿った空気を多量に持っている低気圧ですので、この低気圧でも動向に注視が必要です。

図1、図2、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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