晴れたときのお出かけは雷雨や突風に注意 上空に迫る寒冷低気圧
ゴールデンウイーク中盤のメイストーム
ゴールデンウィーク中盤は、日本海と本州南岸を共に前線を伴った低気圧が発達しながら通過したため、5月2日(水)は西日本を中心に強い風が吹いたり、大雨になった地方では、イベント関係者が対応におおわらわだったと思います(図1)。
このような天気図を気象関係者の間では、「全国的に大荒れとなる二つ玉低気圧」と呼んでいました。二つの低気圧が一緒になりながら発達しますので、5月3日(木)は東日本と北日本を中心に強い風が吹き、広い範囲で大雨の可能性があり、北海道東部や本州の山岳地帯では大雪の可能性まであります。
全国的に警戒が必要ですが、特に休みを利用して登山を計画している人は、特に厳重な警戒が必要です。
文字通り「メイストーム」と呼ばれる春の嵐です。
そして、今回のメイストームのあと、この季節としては非常に強い寒気を持っている寒冷低気圧が接近してきます。
上空に強い寒気をもつ寒冷低気圧
低気圧は、大きく分類すると、水蒸気が水滴に変わる時に発生する熱エネルギーで発達する台風などの熱帯低気圧と、冷たい空気が暖かい空気の下に潜り込もうとすることなどの位置エネルギーによって発達する温帯低気圧に分けられます。このため、熱帯低気圧は前線を伴っていませんが、温帯低気圧は前線を伴っています。
しかし、この分類とは別の低気圧もあります。その一つが寒冷低気圧です。
上空に冷たい寒気を伴っていることと動きが遅いのが特徴で、温帯低気圧のように前線を伴っていません。5月4日に日本海北部に予想されているのが寒冷低気圧です(図2)
寒冷低気圧は、上空の低気圧です。上空の天気図(高層天気図)ではっきりしていても、地上天気図でははっきりしないことも多いのですが、ゴールデンウィーク後半に日本に接近する寒冷低気圧は地上天気図でもはっきりしており、それだけ上空の寒気が強いことを意味しています。
しかも、寒冷低気圧の動きは遅いことから、日本列島上空に入ってくる寒気は長続きします。
平成24年(2012年)の寒冷低気圧
平成24年(2012年)のゴールデンウィーク後半も、前線を伴った低気圧によって全国的に大荒れになったあと、寒冷低気圧が接近して大気が不安定な状態がしばらく続いています(図3)。
このため、平成24年(2012年)5月6日には、晴れたことで地上付近の気温が上昇して大気が不安定となり、関東から東北地方では激しい雷雨となっています。茨城県つくば市では藤田スケールでF3と、日本では最大級の竜巻発生など、関東北部では大きな竜巻被害が発生しています(死者1名、負傷者30名、住宅など約700棟が損壊)。また、茨木県水戸で直径28ミリものひょうが観測されています。
晴れたら大気不安定
ゴールデンウィーク後半は、寒冷低気圧の接近により、日本列島の上空約5000メートルには氷点下24度という、この季節としては強い寒気が入ってきます。
図4は専門家が使う天気図なので、少し見にくいと思いますが、氷点下24度の線が西日本から北日本の広い範囲にまで南下しているのがわかると思います。
このため、日射で地表面が25度位まで温められると、地上と上空の気温差は50度以上になります。すぐに大気が不安定となって、またたくまに積乱雲が発達します。
今年のゴールデンウィーク後半は、出かけるときに晴れていれば、強い日射で地上付近の気温が上がって積乱雲が発達し、帰宅するまでに雷雨や突風に遭遇する可能性が高くなりますので、「晴れたときのお出かけは雷雨や突風に注意」です。
そして、黒い雲が見えたり、雷鳴が聞こえたりしたら、素早く安全な屋内へ避難してください。
図1、図2、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。