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積雪積算値で決まる豪雪地帯

饒村曜気象予報士
津軽鉄道ストーブ列車(ペイレスイメージズ/アフロ)

 西高東低の冬型の気圧配置となり、日本海側の地方で大雪が降りましたが、明日は移動性高気圧の通過で降雪は一服となります(図1)。

図1 予想天気図(平成29年12月15日9時の予想)
図1 予想天気図(平成29年12月15日9時の予想)

 雪が一服しても、気温が低いのでなかなか積雪は減らず、積雪積算値はどんどん大きくなります。

 

追記(12月14日15時):図1で中国山東半島にある低気圧は、日本海を通って北日本を通過し、その後、再び西高東低冬型の気圧配置となって、日本海側の地方では大雪となる見込みです。

積雪積算値

 積雪積算値は、毎日の積雪を加えていった値で、雪が生活に及ぼす影響の目安となっています。

 ドカ雪によって積雪が急に増える地方も大変ですが、積雪がなかなか減らない地方も大変ですが、どちらも積雪積算値であれば大きな値となります。例えば、今月の札幌の積雪積算値をみると、降雪が多かったのは、12月5日と12月8日ですが、降雪がない日の積雪の減り方が大きくないので、積雪積算値はどんどん大きくなっています(表)。

表 札幌の積雪積算値(平成29年12月1~13日)
表 札幌の積雪積算値(平成29年12月1~13日)

 

豪雪地域

 気象庁では、豪雪を「著しい災害が発生した顕著な大雪現象」と定義をしています。具体的な数値基準をしていませんが、法律的には数値基準があります。

 積雪が特に甚だしいため、産業の発展が停滞的で、かつ住民の生活水準の向上が阻害されている地域について、総合的な対策によって産業の振興と民生の安定向上に寄与することを目的に、「豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年4月5日法律第73号)」が作られています。

 この「豪雪地帯対策特別措置法」では、豪雪地域は、5000センチ・日以上の地域です。

 大雑把に言えば、50センチの積雪が100日続く地域が、豪雪地域です。

 そして、豪雪地域の存する道府県または市町村のうち、「その区域の3分の2以上が豪雪地域である道府県または市町村」などの条件をもとに豪雪地帯が指定されています。さらに、豪雪地帯のうち、積雪の度が特に高く、かつ積雪により長期間自動車の交通が途絶するなどにより住民の生活に著しい支障を生じる地域が特別豪雪地帯に指定されています(図2)。

図2 豪雪地帯・特別豪雪地帯指定地域
図2 豪雪地帯・特別豪雪地帯指定地域

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:饒村曜(2002)、気象災害の予測と対策、オーム社。

表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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