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北海道は根雪(長期積雪)の季節へ

饒村曜気象予報士
寒い土地の暮らし・北海道 視線誘導柱(写真:アフロ)

根雪と長期積雪

 北海道では、ほぼ11月中旬頃から12月初旬にかけて初積雪があります。

 しかし、最初のうちは積雪があってもすぐに融けてしまいますが、11月下旬から12月上旬になると、積もった雪が融けない状態になります。

 これが「根雪」と呼ばれるものです。

 「冬の初めの頃に積もった雪が春の雪解け時期まで融けないこと」を「根雪」の定義とすると、いろいろなケースがあり、地方毎にニュアンスが微妙に違います。

 このため、気象庁では「根雪」に相当する「長期積雪」という定義を用いて、統計をとっています。

 この「長期積雪」は、積雪が30日以上連続した時の継続日数です(途中で積雪が無い期間があっても継続とする場合があります)。

 北海道では4~5ヶ月、北陸地方の山間部や東北地方の内陸部では3~4ヶ月、北陸地方の平野部では1~2ヶ月にわたって「長期積雪」が続きます。

 雪が少ない地方でも、寒さが続く年には、積雪が融けずに「長期積雪」になることがあります。例えば、強い寒気が南下して北陸地方が豪雪となった昭和38年(1963年)には、福岡県飯塚市で1月5日~2月15日まで「長期積雪」がありました。

北海道の長期積雪

 北海道では、長期積雪初日の平年日が一番早いのは旭川で、11月22日です。

 一番遅いのは釧路で、12月30日と、同じ北海道でも1ヶ月以上の開きがあります(図)。

図 北海道の長期積雪初日の平年値
図 北海道の長期積雪初日の平年値

 北海道の根雪は、地域による差だけでなく、年によっても大きな差があります。

 昨年(2016年)の旭川では、長期積雪初日が10月29日と記録的な早さでしたが、長期積雪初日は、稚内では早い年は10月末、遅い年は12月末と、年によって大きな差があります(表)。

表 北海道各地の長期積雪初日
表 北海道各地の長期積雪初日

 北海道の11月下旬は根雪の始まる頃ということができます。

 そして、春の雪解けまでの4~5ヶ月間、冬本番が続きます。

 

図表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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