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明日の天気予報では、生活リズムに合わせて「朝の最低気温」と「日中の最高気温」を予報している

饒村曜気象予報士
温度計(ペイレスイメージズ/アフロ)

東京の気温予報

 気象庁が10月12日発表した東京地方の明日の天気予報は、「北の風 後 北東の風 雨 朝晩曇 波0.5メートル 最低気温15度 最高気温17度」です。

 通常、最低気温は「日最低気温」、最高気温は「日最高気温」のことで、ともに日界は0時です。

 気象庁では、13日の最低気温を14度 最高気温を18度と考えているのですが、あえて、違えて発表しています。

 まれに起きることですが、これは、天気予報の発表時刻によって、対象とする時間帯が違うからです。

 明日の天気予報の場合、最低気温は「朝の最低気温(0時から9時までの最低気温)」、最高気温は「日中の最高気温(9時から18時の最高気温)」を発表しています。

 このため、「13日の最低気温は夕方の15時過ぎの14度、最高気温は日付が変わった0時過ぎの18度」であっても(図1)、朝の最低気温は15度、日中の最高気温は17度と発表したのです。

図1 東京の時系列予報(10月12日17時発表)
図1 東京の時系列予報(10月12日17時発表)

予報の種類で異なる最低気温と最高気温の期間

 ほとんどの日では、最低気温が観測されるのは朝方、最高気温が観測されるのは日中ですので、「日最低気温」と「朝の最低気温」、「日最高気温」と「日中の最高気温」は同じ値になりますが、10月13日の例のように、時には差が出ることがあります。

 最低気温や最高気温の統計値は「日最低気温」や「日最高気温」をつかいますが、明日の天気予報では、多くの人の生活リズムに合わせた情報ということで、「朝の最低気温」「日中の最高気温」をつかっています。

 また、明後日以降については、最新情報が利用できることから、週間天気予報では、最低気温や最高気温の統計値は「日最低気温」や「日最高気温」を使っています。

 なお、新聞等で掲載されている最高気温は「当日0時~15時」、最低気温は「前日21時~当日9時」を対象としていることが多いのは、新聞が読者に届くまでの時間差を考えてのことです。

時間とともに寒くなる10月13日の関東地方南部

 東京のような現象は、千葉や横浜など関東地方南部でもみられます(図2、図3)。

図2 横浜の時系列予報
図2 横浜の時系列予報
図3 千葉の時系列予報
図3 千葉の時系列予報

 これは、寒冷前線が関東地方の南海上まで南下し、これに伴って寒気が関東地方に流入してくることに加え、曇や雨の影響で日射がなく、日中も気温が上がらないからです。

 そして、関東の南海上にまで南下した寒冷前線はそこで停滞しますので、今後は、曇や雨の一週間となります(図4)。

図4 予想天気図(10月13日21時の予想)
図4 予想天気図(10月13日21時の予想)

 関東地方では、10月12日(木)までの暑さに比べ、寒い朝と感じての出勤かもしれませんが、帰宅時には、もっと寒くなります。暖かくしての出勤が必要です。

図の出典:気象庁ホームページ

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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