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台風18号 恵みの台風になるか?

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」の赤外画像(平成29年9月11日3時)

長期間の高温と少雨の沖縄

 沖縄県では、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多く、7月中旬から気温の高い状態が続いています。

 また、沖縄本島地方、大東島地方では7月上旬から、宮古島地方では7月中旬から降水量の少ない状態が続いており、沖縄気象台では農作物や水の管理に注意を呼びかけています。

 表は、沖縄気象台が8月28日15時に発表した、「長期間の高温と少雨に関する沖縄地方気象情報 第3号」に添付されているものですが、平年の3分の1以下の降水量しかありません。そして、このとき沖縄気象台は、気温が高く雨が少ない状態は、今後2週間程度は続く見込みとしています。

表 沖縄県の降水量(7月1日から8月22日)
表 沖縄県の降水量(7月1日から8月22日)

亜熱帯の島々の水不足解消は台風

 夏場にまとまった雨の少ない亜熱帯の島々は、多量の水を貯める大型ダムの建設ができないことなどから、ときどき水不足になります。水不足の島に台風が多量の雨を降らせると、水不足を一気に解決し、恵みの雨となることがあります。

台風12号/農家、雨に安堵/農地夜間断水を中止/宮古

【宮古島】台風12号が襲来した宮古島地方では、地下ダムのある市城辺で21日午前6時からの1時間に47ミリの降雨を観測するなど、島全域で激しい雨が降った。干ばつに苦しんでいた農家からは「恵みの雨だ」と安堵(あんど)の声が上がった。

宮古島地方気象台によると、19日午前0時の降り始めから21日午後6時までの総雨量は城辺142ミリ、多良間117ミリ、下地島103ミリ、平良79・5ミリ、宮古空港84・5ミリとなった。城辺のサトウキビ畑では水に漬かった畑もあった。

出典:琉球新報朝刊(2013年8月22日)

 今週前半は、台風18号が沖縄の南海上を西北西に進む予報で、沖縄県には恵みの雨になるかもしれません(図1)。

図1 台風18号の進路予報(平成29年9月11日3時)
図1 台風18号の進路予報(平成29年9月11日3時)

 ただ、自然は人間の都合の良いようにはできていません。

 過去に、水不足で台風の雨を期待すると、雨が降りすぎて災害が発生したという事例は少なくありません。

図2 沖縄県石垣地方の警報級の可能性(平成29年9月10日17時発表)
図2 沖縄県石垣地方の警報級の可能性(平成29年9月10日17時発表)

 ちなみに、沖縄県では、9月12日(火)までは警報級の可能性はないのですが、9月13日(水)と14日(木)は暴風と波浪については、警報級の可能性が「中」になっていますので、週の前半は、台風情報等に注意が必要です(図2)。

 大雨については、警報級の可能性は予想されていません。災害が発生しない程度のまとまった雨なら、恵みの雨になるかもしれません。

図表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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