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小笠原で暴風警戒 北上のタイミングが難しい台風15号

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」可視画像(平成29年8月30日9時)

台風15号が減速

小笠原近海にある台風15号の動きが遅くなる見込みです。

このため、小笠原諸島では今日(8月30日)の夕方には暴風に入る確率が50%を超えますが、その後も長時間にわたって暴風に入る確率の高い期間が続きます(図1)。

図1 小笠原が暴風に入る確率
図1 小笠原が暴風に入る確率

このため、約48時間後の9月2日9時の暴風警戒域は、現在時刻の場所を含む大きな形となっています。

つまり、暴風域(風速が毎秒25メートル以上の範囲)の移動方向が定まっていないことを示しています(図2)。

図2 台風15号の進路と強度の予報(8月30日9時)
図2 台風15号の進路と強度の予報(8月30日9時)

台風情報は、常に気象庁が発表する最新のものを使って下さい。

難しい北上のタイミング

台風15号は、小笠原近海でゆっくりしたあと、北上を開始し、加速する見込みです(図3)。

図3 台風15号の5日先までの進路の予報(8月30日6時)
図3 台風15号の5日先までの進路の予報(8月30日6時)

5日先までの台風の予報は、台風の強さの予報が難しいので、暴風警戒域の予報は発表されず、進路予報だけの発表ですが、これによると、3日の3時には予報円は陸地にかかっていません。

しかし、台風15号は、暴風警戒域がないのではなく、表示しないだけですので、予報円に入っていなくても、暴風に警戒が必要です。

図4 過去の台風15号の予報(8月29日6時)
図4 過去の台風15号の予報(8月29日6時)

ただ、台風15号が北上を開始して加速するタイミングは非常に難しく、予報が難しいタイプの台風です。一日前の予報では、台風3号は3日3時には関東から北海道の沿岸に予報円がかかる予報でした(図4)。

うねりにも注意

台風の進路予報が難しい台風ですので、進路予報が大きく変わる可能性があります。

台風が進路をかえ、予報より日本に接近し、接近・上陸する可能性がありますので、常に最新情報に注意して警戒が必要です。

また、台風が日本の東海上を離れて北上し、接近・上陸する可能性がない場合でも、東日本から北日本の沿岸では、台風によるうねりが入ってきますので、週末の海辺のレジャーには注意が必要です。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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