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土用の丑の日と土用波

饒村曜気象予報士
土用波(ペイレスイメージズ/アフロ)

土用波

7月25日は土用の丑の日、今年は8月6日も土用の丑の日です。

土用というと「鰻」というイメージがありますが、風が弱いのに大きな波がおしよせる「土用波」もあります。

現象自体は古くから知られてきましたが、原因がわからず、不思議がられてきました。

原因がわかったのは明治以降の近代気象学が発展してからです。

土用波は、遠方の台風で発生した波浪が、波頭が丸くて周期が長いという特徴をもった波、「うねり」となって日本近海にやってきたものです。うねりは、減衰しにくいという特徴を持っていて、遠く離れたところからやってくるときは、風が弱いのに大きな波ということになります。

また、うねりは、海岸地形の影響を受けやすく、場所によっては極端に高い波となることもあり、油断できない波でもあります。

今年の土用波は東から

図1 地上天気図(平成29年7月24日21時)
図1 地上天気図(平成29年7月24日21時)

現在、日本の東海上に、台風5号と台風6号という2つの台風があり、これらの台風からの

土用波が、北日本の太平洋側から関東近海に入っており、沿岸近くでは2メートルの波となっています。

図2 外洋波浪実況図(平成29年7月24日21時)
図2 外洋波浪実況図(平成29年7月24日21時)

つまり、東から土用波がやってきています。

東からの土用波は、台風が移動することで長続きしないことが多いのですが、多くの場合、土用波は日本の南海上に台風があって、南からやってきます。

南海上から土用波がくる場合は、長続きをし、かつ高い波となります。

土用波は、海辺で遊ぶのに適した、風が弱くて穏やかな日に起きますので、思わぬ事故が発生することがあります。

日本近海に台風が存在する場合は、常に土用波に注意する必要があります。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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