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関東甲信地方の梅雨入り 速報値と統計値が違うのは16分の7

饒村曜気象予報士
雨傘(ペイレスイメージズ/アフロ)

今年の梅雨入り

6月6日に九州と山口県で、7日に関東から中国・四国地方で梅雨入りとなりました。梅雨前線が停滞して梅雨入りの年が多いのですが、梅雨前線の北側に上空寒気が入って雨や曇の天気が続いたことからの梅雨入りで、近くに梅雨前線はありません。

梅雨前線が沖縄付近に停滞し、沖縄では大雨となりましたが、西日本から東日本は、北からの寒気が流入して大気が不安定となり、局地的に積乱雲が発達し、狭い範囲での豪雨です。広い範囲でシトシト雨が降るという、多くの人が持つ教科書通りの梅雨のイメージとは違った梅雨になっています。また、日射が強まっても、北からの寒気が入っているなかですので、気温は極端にあがりません。

このため、梅雨入りの特定が難しい年です

梅雨入りの速報値と統計値

気象台の「梅雨入りの発表」は、「梅雨を観測し、観測結果を発表」するのではなく、「梅雨を予報し、予報結果を速報で発表」しています。

そして、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討をし、9月の初めに「梅雨入りと梅雨明けを統計値として確定」しています。

つまり、9月の初めに「梅雨の観測結果を発表」しているのです。

気象庁予報部では、「関東甲信地方は6月7日ごろに梅雨入りしたと見られます」と発表しましたが、この6月7日は速報値です。

関東甲信地方の速報値と統計値

関東甲信地方の梅雨入りについての速報値と統計値は、2001年以降の16年のうち、7年で変更になっています(表)。

表 関東甲信地方の梅雨入りの速報値と統計値
表 関東甲信地方の梅雨入りの速報値と統計値

今年は、梅雨入り後、大気不安定で局地的な雨がありましたが、おおむね晴天が続いており、来週には低気圧の通過(図2)と梅雨前線の北上で本格的な梅雨となる見込みです。

このため、平成25年のように、梅雨入りの統計値をここまで遅らせる可能性もあります。

図1 予想天気図(6月21日21時の予想)
図1 予想天気図(6月21日21時の予想)

関東甲信地方の梅雨入り、実は遅かった 気象庁

気象庁は2日、平年より10日早い5月29日ごろとしていた関東甲信地方の梅雨入りを、6月10日に修正。発表後に、高気圧に覆われて晴れる日が続いたため。過去3番目の早さとされた梅雨入りは、平年の8日よりもかえって遅くなった。

出典:東京新聞朝刊(2013年9月3日)

週間天気予報

週間天気予報によると、来週の関東甲信地方は、低気圧の通過と梅雨前線の北上で雨の日が多くなっています(図2)。本格的な梅雨に対する注意が必要です。

一方、梅雨前線の北上により、沖縄県は梅雨明けになるかもしれません。

図2 東京地方の週間天気予報
図2 東京地方の週間天気予報
気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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