冬型が緩んだ時は気温の日較差に注意、日本でも30度以上の記録がある
ある場所における1日の最高気温と最低気温の差が日較差です。
日々の天候の条件によって変わりますが、日較差は植物の生育にも大きな影響を与え、日較差の大きい山間ではおいしいコメなどができます。
これは、気温の高い昼間は光合成を盛んに行ってデンプンを蓄え、気温の低い夜間は活動が不活発になって昼間たくわえたデンプンをあまり消費しないからと言われています。
日較差が30度以上
日本で気温の日較差も大きくなるのは、北日本の内陸部で、真冬の放射冷却で極端に温度
が低くなった日中に日差しが出て温まる場合や、上空に寒気が入っている春や秋にフェーン現象がおきたときで、このときの日較差は30度以上になります。
平成19年2月5日の日本列島は大きな高気圧に覆われておおむね晴れとなり、長野県では4月上旬並の気温となっています(図1)。
長野県菅平では、日中は日差しによって気温が11.2度まで上がりましたが、明け方は放射冷却によって気温が著しく下がってー20.3度であったため、日較差は31.5度にもなっています。
また、日較差が大きく、同じ日に夏日(日最高気温が25度以上)と冬日(日最低気温が0度未満)になったこともあります。
平成21年4月30日の北海道東部の内陸部にある釧路市阿寒町中徹別では、13時20分にフェーン現象によって最高気温が27.3度まで上昇して夏日となり、この日、全国一位の高温となりました(図2)。
しかし、数日前から日本上空に寒気が入っていましたので、最低気温は2時40分に観測したー2.4度です。このため、日較差は29.7度でした。
冬型の気圧配置がゆるみ、寒気が南下しているいるときに晴れると、一日で約30度という極端な温度差に日があります。体調が崩しやすいの、荒れた日だけでなく、穏やかな日でも気象情報に注意が必要です。
日本では中緯度の海に囲まれた国ですので、気温の日較差が大きい地方といっても限度があります。諸外国ではもっと大きい場所がありますので、高緯度や内陸部の国へ旅行する場合は、昼間暑くても夜間は冷えることを意識して準備したほうが良いでしょう。
気温の年較差
一定の場所で、一年間に観測された最低気温と最高気温の差を年較差といいますが、年較差の大きい場所は、日格差の大きい場所ということもできます。
統計的には、最暖月と最低月の月平均気温の差をいう場合をいうことが多いのですが、高緯度から低緯度にゆくほど、内陸部から海岸にゆくほど年較差は小さくなります(図3)。赤道付近では、太陽の運行は1年通してほとんど変わりませんが、高緯度地方になるほど、冬は太陽高度が低く、日照時間も短くなるからです。
また、海洋は暖まりにくく冷めにくいのに対し、陸地は暖まりやすく冷めやすい性質がありますので、海のほうが年較差が小さいのですが、内陸部から海洋の影響を受けやすい海岸にゆくほど年較差は小さくなるからです(図4)。
この傾向は日本でも同じです。高緯度にある北海道は、札幌などの沿岸部では25度位の年較差ですが、旭川などの内陸部では30度位になります。
これに対し、低緯度の島(沿岸部)である沖縄では12度位です。
ロシアのレナ川に沿ったシベリア内陸都市のヤクーツクは、冬の寒さが非常に厳しく、1891年2月にはー64.4度を観測するなど、平均気温でー40度を下回ることが珍しくありません。しかし、夏には猛暑日になることがあり、2011年7月には38.4度を観測していますので、月平均気温ではなく、これまでに観測された最高気温と最低気温でみるとその差は102.8度です。
これには及びませんが、北海道の内陸部では、旭川で77度(最高気温が1989年8月7日36.0度、最低気温が1902年1月25日のー41.0度)、帯広で76度となるなど、70度以上の差を観測しています。