明日から北陸で豪雪の予報 降雪量は昔より大きな値が出る
これから、今冬一番の寒気が流入し、北日本を中心に冬型の気圧配置が強まって、明日から日本海側の地方では大雪の可能性があります。特に、9日夜から10日にかけ北陸地方を中心に100センチメートルの降雪が降るおそれがありますが、
訂正:雪の予報を誤って強めにしてしまいました(2月8日16時)。
明日は日本海を気圧の谷が通過し、北陸地方などで竜巻や突風などの恐れがあります。その後、北日本を中心に冬型の気圧配置が強まり、雪の恐れがありますが、降雪量の観測は昔より大きな値がでる方法を使っています。
昔の降雪の観測
積雪の観測は、雪がふる前に雪尺と呼ばれる10センチメートルごとに色塗りをした長い棒を露場にたて、決められた時間に、棒のどのくらいまで積雪によって隠れているかを少し離れたところから目視で観測していました。
また、降雪の観測は、雪板と呼ばれる30センチメートル四方の白く塗った角板の中央に、高さ50センチメートル程度の目盛り付きの棒をたて、決められた時間に、前の観測時間からどのくらい降り積もったかを観測し、観測が終ったら雪板上の雪をはらっていました。そして、1日分の降雪の観測を合計して日降雪量を求めていました。
この方法では、一日に1回か2回の観測しかできません。
しかし、現在は、超音波やレーザー光を使って積雪や降雪を1時間毎に観測しています。
現在の降雪の観測
現在の積雪の観測は、2~4メートルの高さに送受波器を設置し、送受波器から雪面までの距離を測定しますが、雪面までの距離を測定する方式によって、超音波を使った超音波式とレーザーを使った光電式に分けられます。
アメダスなどでは超音波式が使われています。観測は高い場所から地表面に向かって超音波を発射し、雪面で反射して戻ってくるまでの時間から、積雪Hを求めます(図1)。積雪がより深いと超音波がより早く戻ります。超音波が進む速度は、温度による差がありますので、同時に計っている気温で修正します。
空港や雪の少ない気象台などでは光電式が使われています。レーザー光を使い、光が反射して戻ってくるまでの時間差で積雪の深さを求めています。
そして、降雪の深さは積雪の深さの変化から求めます。
積雪の高さは、時間と共に雪が引き締まってきますので、融けなくても低くなります。しかし、雪が降った直後で考えると、降雪の分だけ積雪が増えます。このことから、アメダスでは、1時間ごとに降雪の深さの差をとり、増えた場合のみを加えて降雪量としています。例えば、6時間を考えたとき、1時間ごとの降雪差が、1センチメートル、0センチメートル、1センチメートル、―1センチメートル、0センチメートル、―1センチメートルなら、降雪量はプラスだけを加えた2センチメートルとなります。プラスマイナスゼロではありません。
気象台の統計は平成17年10月から変更
アメダスの降雪については、設置当初から積雪の深さの差をもとに求めていました。
無人観測であるため、この方法しかなかったのですが、データが蓄積されるにつれ、有人の気象台等での観測も、この方法に変更となりました。これは、除雪体制が整備され、雪が積もり始めてから1日たたないうちに迅速な除雪が可能になるなど大雪への対応と災害形態が変化したこと、まとまった強い雪のほとんどが12時間以内で収まる場合が多く、雪の止んでいる地方の大雪警報の解除を早くすることが求められたためです。
このため、気象台等での「降雪の深さ」の観測方法も、平成17(2005)年10 月から変更となっています。
降雪の統計値
気象台の調査によると、雪板による観測結果と積雪計による観測結果は、互いに相関が良いものの、月合計値など一定期間の観測値を集計して比較すると、地域により系統的な差が見られることがありますが、平年値や階級区分値を、積雪計による観測に合わせたものに変更となっています。
降雪の統計値は、平年値や階級値は修正されていますので、特に問題がありませんが、極値については、そのままです。このため、新しい方法のほうが大きな値がでますので、仮に極値をギリギリ更新した場合は、昔のほうが降雪があった可能性があります。
図の出典:饒村曜(2004)、雨と風の事典、クライム。