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ますます露骨になる中国の対韓国“上から目線”――「文在寅外交は無気力、無力、能力不足」と酷評

西岡省二ジャーナリスト/KOREA WAVE編集長
大阪G20での写真撮影に臨む習近平氏(左)と文在寅氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 中国の研究機関が韓国・文在寅政権の対外政策を酷評する論文を発表し、米国と中国に「二股」をかけるような韓国外交の振る舞いをあからさまに批判した。中国の王毅・国務委員兼外相も、16日に鄭義溶・韓国外相と電話で会談した際、米国側に韓国が引き寄せられないよう強くけん制している。中国による韓国圧迫が露骨になっている。

◇「“二股”は韓国を追いやる」

 中国の復旦大学国際問題研究院は先月、国際関係の展望や中国の戦略に関する提言を盛り込んだ国際戦略報告書を公表した。その中で、同大の朝鮮・韓国研究センター主任の鄭継永教授が韓国外交に対する見解を書いている。

 鄭教授は文在寅政権の今後について「政権末期に向かうなかで、外交的な振る舞いは無気力、無力、能力不足となり、現状維持で目いっぱいとなる」と見通している。

 南北関係では「文在寅政権は主導権を失った」と指摘。四字熟語を多用しながら、文在寅政権を取り巻く空気感を、次のように説明している。

「朝米(米朝)関係を調整する際の無能為力(無力であるさま)、無所作為(何もしようとしないさま)、国内での(北)朝鮮に対する抗議活動の放任自流(成り行きに任せるさま)、対応の遅れにより、朝鮮は韓国をこれ以上信頼しなくなり、関係を断絶した」

 この論文では、最近の韓国外交のスタンスについて「米中関係において“二股をかける”というやり方が、ばつが悪い状況に韓国外交を追いやっている」と分析している。

◇外相会談の発表量、中国が韓国の倍以上

 中韓両国の外務省がそれぞれ出した発表文は、分量で中国が韓国を圧倒していた。日本語に訳して分量を計れば、韓国側が450字程度だったのに対し、中国側は1100字以上にのぼった。もっとも会談内容を公表する際には、中身は各国の裁量に委ねられており、各国が主張したい項目が積極的に表に出される。

 16日の中韓外相電話会談で、中国側は「双方は共通の関心事である国際問題についても意見交換した」と記し、この際、王毅氏が「中国は開放的で包括的な地域協力のメカニズムを支持し、イデオロギーにより陣営を分断することに反対する」と表明していた。

 王毅氏のこの発言は、中国を牽制するために米国や日豪印の4カ国がつくった枠組み「QUAD(クアッド)」を念頭に置いている。4カ国が民主主義や法の支配などの基本的な価値観とルールを掲げて結束するもので、米国は韓国に参加を働きかける段取りを整えているといわれる。

 こうした背景があるため、王毅氏は韓国側に中国包囲網に接近しないよう警告した形だ。

 この内容は、韓国側の発表にはなかった。

 朝鮮半島に関しても、王毅氏は「半島情勢の当事者としての韓国特有の役割を、中国は一貫して重視してきた」と持ち上げつつ、朝鮮半島問題において米国の影響を排除し、主導的な役割を果たすよう促している。

ジャーナリスト/KOREA WAVE編集長

大阪市出身。毎日新聞入社後、大阪社会部、政治部、中国総局長などを経て、外信部デスクを最後に2020年独立。大阪社会部時代には府警捜査4課担当として暴力団や総会屋を取材。計9年の北京勤務時には北朝鮮関連の独自報道を手掛ける一方、中国政治・社会のトピックを現場で取材した。「音楽」という切り口で北朝鮮の独裁体制に迫った著書「『音楽狂』の国 将軍様とそのミュージシャンたち」は小学館ノンフィクション大賞最終候補作。

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