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板倉滉、オランダリーグの週間ベストイレブン選出

中田徹サッカーライター
AZに勝利し、充実した表情の板倉滉 【中田徹】

■ 「球際の強さはフローニンゲンがオランダで一番」

 オランダリーグ第9節を終えたところで、7位AZと8位フローニンゲンは共に勝ち点17だった(但し、AZは消化試合が一つ少ない)。この両チームが12月6日に激突し、フローニンゲンが2対1で勝利した。日本代表の板倉滉(フローニンゲン)と菅原由勢(AZ)は共にフル出場を果たした。

 AZは21分、MFコープマイナース主将のゴールで幸先よく先制したが、57分にMFミチューが2枚目のイエローカードで退場すると形勢逆転。数的優位に立ったフローニンゲンは69分、74分とMFエル・メサウディが連続ゴールをあげて逆転した。さらに85分にAZのDFマルティンス・インディも2度目の警告で退場し、この時点でフローニンゲンの勝利は揺るぎないものになった。

 この日のAZは7枚ものイエローカードを受けてしまった。一方、フローニンゲンのイエローカードは1枚。後半アディショナルタイムの終わり頃にエル・ハンクリがレッドカードをもらってしまったが、勝負の行方に影響しなかった。

 AZが自滅した試合だったが、見方を変えればフローニンゲンがしっかりメンタルをコントロールしながら試合を進め、乱戦に巻き込まれなかった末の勝利と呼べる。その中で、CBの板倉滉はチームのディフェンスリーダーとして安定した守備を披露し、記者席に座るオランダ人を唸らせていた。

 前半、コーナーキックから奪われた失点を悔やみつつも、板倉滉は強豪相手の逆転勝利に嬉しそう。

「AZはやっぱりクオリティーが高く、いいチームだったので、前半は押し込まれる時間帯があった。相手はスピード感があって速かったので、いつもの試合と感じが違ったけれど、自分の中では面白かった」 

 この日、AZに多くのイエローカードが出たことについて、板倉は「相手は怒っていた」と証言した。その背景にはフローニンゲンのアグレッシブなプレースタイルがあった。

「フローニンゲンにはデュエルの激しさがあって、しつこくやってたら相手も怒る。(さらにAZは思うような試合運びができず)うまくいかなかったことに怒るし。相手が1人退場してから2点取って、さらにたたみかけることができました。

 球際に強く行って戦うところは、フローニンゲンがオランダリーグで一番だと思ってます。守備から自分たちのリズムを作りながら、みんな自信を持ってプレーできてます。守備のところで圧倒できたことが今日の勝ちにつながりました」

 今季のフローニンゲンは上位チーム、格上のチーム相手にしっかり結果を残している。板倉は言う。

「アヤックス(首位)に勝って、フィテッセ(2位)と引き分け、AZに勝った。それが今、すごい自信になっていると思う。このままの勢いで、しっかりやっていければなと思います」

 これでフローニンゲンは6位に、AZは8位になった。ヨーロッパリーグ出場権を争うプレーオフは4位から7位までのチームが出場できる。「ヨーロッパリーグはチーム全体としての目標です」と板倉は語った。

 全国紙『デ・テレフラーフ』は第10節の週間ベストイレブンにフローニンゲンからDFダンカーラウ、板倉、MFエル・マサウディ、FWヨーステンの4人を選出した。

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

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