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「ミルクボーイ」「空気階段」「オダウエダ」。“同門”王者続出の中で「ななまがり」が抱える葛藤と覚悟

中西正男芸能記者
「ななまがり」の森下直人さん(左)と初瀬悠太さん

「キングオブコント2016」でファイナリストになるなど実力派として芸人仲間からも一目置かれるお笑いコンビ「ななまがり」。森下直人さん(35)、初瀬悠太さん(35)ともに大阪芸術大学の「落語研究寄席の会」出身で「M-1」王者の「ミルクボーイ」、「キングオブコント」王者の「空気階段」鈴木もぐらさん、「THE W」王者の「オダウエダ」植田紫帆さんと同門になります。周りが次々に王者になっていく重圧の中でつかみ取ったものとは。

チャンピオンがノルマ

森下:4月9日、10日の2日間で4公演、全て内容の違う単独ライブを開催するんです。普通なら2カ月に1回とかのペースで行うものを2日に凝縮するので、なかなか大変なことでもあるんですけど、一つのチャレンジとしてやってみようと。

初瀬:ライブに向けての準備という意味ではいつもと同じなんですけど、さすがに分量が凄まじいので(笑)。ただ、それでも「こういうことくらいをやらないと…」という思いがあったので、非常に前向きに取り組むことができています。

森下:今回のライブもなんですけど「より一層、頑張らないと」と強く思うのは僕らが大阪芸術大学の「落語研究寄席の会」出身ということが大きいと思います。

1学年上が「ミルクボーイ」さん、2年下が「空気階段」の鈴木もぐら。そして、かなり学年は離れていますけど「オダウエダ」植田もそこの出身なんです。

次々と周りが優勝し、僕らもなんとか結果を残すしかない。もちろん、これまでもそう思ってやってきたんですけど、さらにその思いが強くなっている。それがリアルな現状です。

特に「ミルクボーイ」さんともぐらに関しては、在学中からガッチリ一緒だったんで、なんというんでしょうね、兄弟くらい近い関係なんです。

そこが二組とも漫才とコントで優勝した。そうなるとね、これはもうなんとも言えない気持ちになっています。

初瀬:仲の良い芸人仲間が売れても焦る感覚はそこまでなかったんですけど、学生時代から同じ境遇でやっていた人が結果を出していく。これは別物というか、たまらない感覚でした。

この先を考えた時、もし僕らが芸人としてダメになってしまって、一方で「ミルクボーイ」さんと「空気階段」の番組とかができていたら。決してない話ではないですし、その番組を見る時の気持ちはさすがにつらいだろうなと。

そのつらさにおびえるくらいだったら、自分たちもその領域に進むしかない。そういった思いが強いというのも正直な話です。

森下:近い身内がチャンピオンになる。普通は、人生でよくあって1回だと思うんですけど、ここ何年かでこれだけ続くと…。さすがに考えるところがあるなと。

初瀬:チャンピオンがノルマになる。そんな感覚にもなってきましたけど(笑)、もうあとはやるしかないですからね。

森下:大きなことですけど、本当に頑張らないとダメですよね。

恩返し

初瀬:僕は「ミルクボーイ」内海さんと毎日のように会っていた時期もありましたし、本当によく飲みにも行ってました。

互いに趣味も全く違うんですけど、笑いの話はこれでもかとしてきました。内海さんが言ってくださったことで特に体に刻まれているのが「お前らはキワモノなんやから、ちゃんとしようとしたらアカン。キワモノの頂点を目指すべき」ということでした。

もともと不器用なコンビだとは思っていたんですけど、いろいろなことができた方がいいだろうし、可能ならば正統派的なところで上にも行きたい。

いろいろな武器がある中、一番主流派というか、できれば“剣”や“銃”で勝っていきたい。そんな思いもあったんです。でも、内海さんの言葉で、自分たちの武器は“鎖鎌”だと認識できたといいますか。

その覚悟が定まったら、もう他のことにスキルを振り分ける必要はない。ひたすらに鎖鎌のスキルを高める。もし他の領域で失敗しても、そこは自分たちの本分ではないし、必要以上に落ち込まなくもなりました。

自分たちが勝負して、頑張るべき領域はココ。そこの迷いがなくなったのは幾重にも効能をもたらしてくれたと感じています。

それとね、これももう感謝しかないんですけど、常にこちらのことを気にかけてくださっているんですよね。何か事あるごとに「次(優勝するの)はお前らやぞ」と言葉をかけてくださって。

森下:もちろんプレッシャーもありますけど、それ以上に力をもらえるというか。あとは僕らが追いつきさえすれば、堂々と一緒に面白いことができますから。

初瀬:もし「ミルクボーイ」さんへの恩返しなんてことがあるならば、僕らがそこの土俵に行く。それだと思っています。

…だいぶ本気の話ばっかりしてますけど、これ原稿になるんですものね。そう思うと気恥ずかしさも出てきますけど(笑)、でも、本当に思っていることばかりなので、なんとか頑張りたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■ななまがり

1986年5月20日生まれの森下直人と86年4月5日生まれで香川県出身の初瀬悠太が2008年にコンビ結成。ともに大阪芸術大学卒業で、在学中は「落語研究寄席の会」に所属。当時は先輩に「ミルクボーイ」、後輩に「空気階段」の鈴木もぐらがいた。大阪で活動を始め、14年に拠点を東京に移す。16年に「キングオブコント」で決勝進出。森下は「R-1ぐらんぷり2020」でファイナリストとなる。19年、TBSテレビ「水曜日のダウンタウン」の企画である「新元号当てられるまで脱出できない生活」に出演。一躍注目を集め、同企画がギャラクシー賞2019年5月度月間賞を受賞。4月9日、10日と東京・北沢タウンホールで単独ライブ「ななまつり 二〇二二」を開催。2日間で「玄武」「青龍」「朱雀」「白虎」の4公演を行い、全て違う内容となっている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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