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「本当にヘタクソ」。福田転球が語るコロナ禍への思いと自らへの思い

中西正男芸能記者
新型コロナ禍での思い、自らへの思いを語る福田転球さん

 「劇団☆新感線」など多くの舞台からオファーが殺到する俳優・演出家の福田転球さん(52)。盟友の山内圭哉さんとの公演「2Cheat5(ツーチートファイブ)」を来月から東京、大阪、高知で開催するなど力強く歩みを進めます。舞台を主戦場にする中で感じた新型コロナ禍の影響。そこと向き合う中で感じた思いをストレートに語りました。

意外な感情

 予定されていた舞台がなくなったり、途中で休止してしまったり、去年から新型コロナ禍の影響がいろいろと出ています。

 今はリモートという形もできましたし、新たな形で舞台を見てもらえるのは意味のあることだなと思います。

 ただ、この前、自分のことながら驚いたというか、なんとも言葉にしづらい感情が出てきたことがあったんです。

 今夏出演した舞台で感染予防をしっかりとした上でほぼ満席に近いくらいお客さんが入った作品があったんです。客席からのパワーもすごかったし、これまでだったらすごくやりがいを感じるシチュエーションだったと思います。ただ、そこで意外な感情が出てきたんです。

 満席の客席に圧倒されるというか…、何と言うんでしょうね。言葉にしづらい感情でもあるんですけど、この状況下で来てもらったお客さんへの申し訳なさとか、そこまでして来てもらうことへの遠慮といか、そういう感情がワッと出てきたんですよね。

 もちろん感染予防をしっかりとやっての公演だし、その上で来ていただいていることには感謝しかないんです。でも、そこで思いもよらない気持ちが出てきた。

 それが何による変化なのか。何がどう自分の心に作用しているのか。それは本当に分からないんです。でも、事実としてそんな思いが出てきた。今までだったら、こちらの気持ちも盛り上がって「舞台に上がって来いよ!」となるような状況だったと思うんですけど、違う感情になった。

 コロナ禍が長く続く中で、気づかないところでいろいろなものが変わっているのかなと感じました。

ナマの意味

 ただ、今も基本的にはお客さんに楽しんでもらいたい。笑ってもらいたい。これがベースにあることは間違いないんです。

 でも、この前みたいな感情を自分が持つなんて、思いもよらなかったし、今後、自分がどんな気持ちになるのか。そこは分からないなと思っているのがリアルなところでもあります。

 でも、でも、やっぱりナマが一番という気持ちは今でもあるんですよね。ナマが好きですし、ナマでやってナンボという感覚は確実にあります。配信というツールもとても便利ではあるんですけど…。

 例えば舞台を映像で配信する場合、何かセリフを言っている人だけが映ったり、笑いが起こっているやり取りをしている人たちだけが映ったりすると思うんです。

 そら、映像を撮るとなったらそういう撮り方をするのがスジなんですけど、舞台にはその人たち以外にもただ立っているだけの人とか、それを見守っている人もいてるわけです。

 そういう存在も含めて全部が舞台、作品である。そして、そこからにじみ出る面白さもある。それも事実だと思うので、そうなると、やっぱり自分の目で、ナマで見ていただくことにはかなわないのかなと。

 ただ、繰り返しになりますけど、リモートは便利な発明ではあるし、有効活用すべきものだとも思います。まさに、新たな価値観がどんどん生まれている最中なんでしょうね。

 いろいろ考えることもたくさん出てきましたけど、願わくはこの先も年相応の仕事が切れることなくあって、年相応の役を演じ続ける。そうなれたらいいなとは思います。

 僕なんて、まだまだ、まだまだ、本当にヘタクソですから。知らんこともいっぱいあるし、映像なんてド素人みたいなもんですから。ま、この歳になってこんなこと言うのもアレなんですけど、まだまだ積み重ねていきたいし、積み重ねないとダメな部分もたくさんあるので、なんとかこの仕事を続けていけたらなと思います。

 …なんか、まじめな話ばっかりになりましたかね?大丈夫ですか?ただ、ホンマに今自分が思ってることですしね。うまいことまとめてもらえたら幸いです(笑)。

(撮影・中西正男)

福田転球(ふくだ・てんきゅう)

1968年9月10日生まれ。大阪府出身。大阪芸術大学舞台芸術学科ミュージカルコース卒業後の93年に「転球劇場」を旗揚げ。座長として2006年のさよなら公演「3バカ」まで13年間31作品全てにおいて出演・構成・演出を手掛ける。2000年には「咲くやこの花賞」を受賞。近年では山内圭哉、長塚圭史、大堀こういちとの「新ロイヤル大衆舎」、山内圭哉とのユニット「2Cheat」、歌喜劇団「マサコの間男」などでの活動を精力的に行い、外部作品にも多数出演している。山内との公演「2Cheat5(ツーチートファイブ)」を東京(9月7日~13日、下北沢駅前劇場)、大阪(同23日~26日ABCホール)、高知(10月2日、土佐市複合文化施設つなーでブルーホール)で開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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