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東近江V、初の日本一を狙うも来年の目標へ~第17回 全日本女子クラブ野球選手権大会~

中川路里香フリーランスライター

 現在開催中の「第17回 全日本女子クラブ野球選手権大会」(~29日)。社会人クラブチーム最高峰の大会で日本一を目指し出場していた東近江バイオレッツ(滋賀県)ですが、27日に行われた二戦目(3回戦)となるエイジェック(栃木)戦で敗れました。頂点に立つ夢は、来年へ持ち越しとなりました。

エイジェック    010 004 0=5

東近江バイオレッツ 000 001 0=1

■バッテリー

エイジェック 小野寺、小松 - 塩谷

東近江バイオレッツ 三川、坂原 – 木瀬

 先発、三川投手は2回に1点を奪われるとその後何度も走者を許しますが、牽制死や併殺に打ち取るなどして追加点を許さず味方の援護を待ちます。しかし、打線は、エイジェック先発の小野寺投手の力ある速球とキレのある変化球を前に出塁できません。特に2回と3回に5者連続三振にとられるなど、圧巻の投球を見せられます。それでも追加点を許さず粘りを見せていた三川投手ですが、終盤の6回に連打され4点を失います。直後の攻撃で東近江は満塁のチャンスをつくりましたが1点を返すのみで、そのまま敗戦となりました。

◆「相手が上」と真摯に受け止め

 今季、主力5選手が抜けたとはいえ、やはり昨年覇者のエイジェックは強かった。終盤まで点差1点と僅差でしたが、東近江は4回をのぞいて毎回安打され走者を抱えながら牽制や併殺をとるなどしてしのぎ、打線は、好投の小野寺投手の前にバットが出ないという終始苦しい内容でした。そんな中、追加点のチャンスを虎視眈々と狙っていたエイジェック打線が終盤にきて一気に4得点し寄りきった、そんな印象でした。

 試合後、東近江バイオレッツ・中村監督は「相手が上だったととらえるしかない」と話しました。安打できない状況に序盤こそはアドバイスするも、「何か仕掛けていかないと状況を打破できない」と各打者の思い切りに懸けたそれが6回裏の1点に表れましたが、残念ながら続くもう1本が出ませんでした。

打線が苦労し東近江バイオレッツは、逆転することができなかった
打線が苦労し東近江バイオレッツは、逆転することができなかった

 実は、今年の7月上旬にエイジェックが阪神タイガースWomanと甲子園で試合をするなど関西遠征した時に試合をしており、その時は東近江が勝利していました。ただ、三番手で登板した小野寺さんを「打てなかった」といいます。それもあって、今回も小野寺さんが来ることが予想できただけに「彼女を打ち崩せるか」(中村監督)がポイントでした。

 今回の小野寺さんの投球内容についても「もともと良いモノを持っている上に、自信を持って投げ込まれた」といいます。また相手キャッチャーにもやられたとも。「投手の自信のあるボールを上手く引き出し打者の裏を書いていた」とも話しました。

5回まで1失点と粘った三川投手については「丁寧に投げてくれました。2回の1点のみで、あとのピンチは牽制で走者を刺すなど、とにかく粘ってくれた。あとはスタミナ。6回は少し球威が落ちていた」と、労いながら今後へ向けての期待を口にしました。

力投した先発した三川茉莉投手
力投した先発した三川茉莉投手

◆自分たちの打撃をしっかりできるようになること

 苦戦した打線の中で、一人気を吐いたのが三番の木瀬主将です。チーム5安打のうち3本を放ちました。小野寺さんは「ストレートは力があるし、変化球はコースをついてくるし、とにかく気迫あるボールを投げてきた」という印象でしたが、自分からチャンスをつくろうと打席に立ち連続安打を放ちました。

二塁打を放ちベンチに向かってガッツポーズをする、木瀬悠里主将
二塁打を放ちベンチに向かってガッツポーズをする、木瀬悠里主将

「エイジェックの投手陣が簡単に打てないことはわかっていた」けれど「1点を返した6回はランナーを出した途端、小野寺さんがそれまでのピッチングとは明らかに変わったのを見ても、追い込まれる前に打つとか、ファーストストライクから積極的にスイングしていればもっと塁に出られただろうし、そしたら展開が変わっていたはず」と振り返りました。

 キャッチャーでもある木瀬主将は、得点することで三川投手をもっと楽に投げさせられたのにと反省を口にしました。「理由にしてはいけないけれど」三川投手が大会前の練習試合で軸足となる左ひざに死球が当たり万全ではなかったと教えてくれました。「不安を抱えつつ投げてくれただけに、早い段階で1点でも奪って彼女を活かしてあげたかった」と悔しがりました。

◆今後に向けて、新たに出発

「日頃から応援してもらっている地元の人たちへ、日本一という結果で恩返ししたい」(木瀬主将)東近江バイオレッツ。それには数ある実力チームを倒さなければいけません。今回の敗戦を今後へどう活かしていくでしょうか。

 中村監督は「好投する投手をどう打ち崩すか。そこから練習を積んで、どこからでも得点できるようになって来年戻ってきます」と話しました。

 木瀬主将は「自分の得意なゾーンに来たボールは、たとえ自分がはっていない球種だったとしても積極的にスイングして、相手が嫌がる打者になること」だといい、「今年は全日本選手権の出場権がもらえるベスト8に入れなかったですし、来年は胸を張って帰ることができるように。東近江から日本一を目指します」と改めて誓いました。

「地元の方へ、結果で恩返しをしたい」とこれからの意気込みを語ってくれた木瀬主将
「地元の方へ、結果で恩返しをしたい」とこれからの意気込みを語ってくれた木瀬主将

 全日本選手権大会へは推薦枠での出場権がまだ残っています。出場できることを期待したいです。

(写真は全て筆者撮影)

フリーランスライター

関西を拠点に活動しています。主に、関西に縁のあるアスリートや関西で起きたスポーツシーンをお伝えしていきます。

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