子どもたちに囲碁を。囲碁普及に新たな一手『ヒカルの碁寄贈プロジェクト』市井の人々が立ち上がった
最盛期1200万人いた囲碁人口が減少の一途をたどっている。危機感は囲碁ファンのなかでも深刻だ。思い起こすのは20年前にあった囲碁ブーム。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『ヒカルの碁』が爆発的にヒットし、日本だけでなく、中国、韓国、タイ、シンガポール、フランス、アメリカなど数多くの国に広がり、世界的に盛り上がったことだ。
『ヒカルの碁』は、子どもたちに囲碁の魅力を伝えるのに最強・最善のコンテンツといえるだろう。
その『ヒカルの碁』を、現代の子どもたちに届けようと、小学校や学童などに寄贈するプロジェクトが走り出している。その状況と成果はいかがだろうか。
『ヒカルの碁』で子どもたちに囲碁に興味を持ってもらいたい。
こんな志でプロジェクトを走らせているのが、「囲碁普及団体 インディゴ(理事長・山城宏)」だ。理事長は日本棋院棋士で日本棋院副理事長も務めたことのある山城宏九段だが、運営を担っている多くは一般のアマチュア囲碁ファン。
囲碁を愛する市井の人々が、囲碁界の未来を憂い立ち上がったのだ。
囲碁普及のためのイベントなど行ってきているが、大きな柱は「ヒカルの碁寄贈プロジェクト」。寄付などで集めた『ヒカルの碁』全巻と囲碁入門セットを小学校(放課後児童クラブ/児童館/適応支援室など含む)に寄贈している。
2023年3月から始まり、すでに16カ所に贈られ、このあとも、30カ所に贈る準備も出来ている。
そのなかのひとつ、石蔵秘密基地by JimoKids(ジモキッズ:東京都北区滝野川にある大人と子どもの”サードプレイス”)の話をご紹介しよう。
ジモキッズに届けられた『ヒカルの碁』と碁盤、碁石により、囲碁を打つ環境ができ、「居場所を求める子どもと街のおじさんとの囲碁対局が始まっています。子どもたちは最初、ルールはよく分かっていなかったけれど、なんとなくおじさんの誘導で覚えながら打てるようになっています」という。
囲碁が世代を超えたコミュニケーション、きずなを結ぶ橋渡し役になっている実践例がまたひとつ増えた。
囲碁という文化を継承するのは、プロ棋士だけではない。ひとりひとりの力が集まって大きくなり、花開いていくことを切に願う。
みなさんのお宅にも『ヒカルの碁』は眠っていないだろうか。囲碁界の未来のために、寄贈を思い立ったら、下記へご一報を。