Yahoo!ニュース

WBC韓国代表右腕にチームの同僚、元ヤクルトのブキャナンがアドバイス

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
昨年のブキャナンの誕生日の時のウォン・テイン(写真:サムスンライオンズ)

沖縄・恩納村で春季キャンプを行う韓国KBOリーグのサムスンライオンズには、3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の韓国代表選手が1人いる。投手のウォン・テイン(22)だ。

2019年にドラフト1次指名でサムスン入りしたウォン・テインは、若きエースとして4年目の昨季、2年連続の2ケタ勝利を記録した。しかし前年に比べると安定感に欠き、チームも同率1位から7位に低迷。彼は「残念なシーズンだった」と振り返る。

「10勝はしたものの細かな成績や、自分が最も重視しているクオリティースタート(QS。先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内に抑えること)が少なかったです。チームの成績も良くありませんでした」

「先発投手はいかにピンチを切り抜けるかが大事ですが、それが出来ずに無駄な点を与えてしまったことが残念でした。いい時と悪い時の差がはっきりしていたシーズンでした」

ウォン・テインといえば140キロ台後半の直球と、得意球のチェンジアップの組み合わせで打者を打ち取っていくのが特徴だ。昨季はそのチェンジアップよりもスライダーを磨こうとした結果、良さが失われたという。

「昨年、ストレートはシーズン後半に自己最速(152キロ)が出て自信がつきました。得意ではなかったスライダーも後半戦には自信を持って投げられるようになりました。しかしそれまでは長所だったチェンジアップの精度が落ちて、消極的になってしまいました。今年のキャンプではたくさんチェンジアップを投げて、いつでも思い通りに投げられるように、良かった時の感覚を取り戻しています」

沖縄キャンプでのウォン・テイン(写真:サムスンライオンズ)
沖縄キャンプでのウォン・テイン(写真:サムスンライオンズ)

キャンプでウォン・テインはWBCの公式球を使って投球練習を行っている。ただ「あまり数がない」ということで、KBOのボールと併用して投げている状況だ。ウォン・テインはWBCのボールを「大きくて滑る」と話す。

「WBCの公式球はメジャーリーグのボールと同じなので、(デービッド)ブキャナン投手に『どうしたら慣れるか?』と聞きました」

ブキャナンは元メジャーリーガーで、20年にヤクルトからサムスン入り。3シーズン通算42勝20敗を記録し、ウォン・テインと並んで先発投手陣をけん引している。

「ブキャナン投手は『ボールが違うと思わずに投げなさい。大きな問題じゃない』と言ってくれました。いつもアドバイスをしてくれて得ることが多い選手です」

東京オリンピック(五輪)に続いて代表入りとなるウォン・テインは「言い訳にはなりますが、東京五輪の時はシーズン前半戦で全力を尽くした後だったので、ベストコンディションではありませんでした。そして海外の力のある打者は失投一つが長打に繋がることを思い知らされました」と当時を振り返った。

「WBCは野球にとって(サッカーの)ワールドカップのような大きな大会。ワクワクしますし、代表選手として実力を発揮したいです」と話すウォン・テイン。12日にチームを離れ、代表チームが合宿を行うアメリカ・アリゾナ州へと向かう。

◇ウォン・テイン 21年に26試合14勝7敗、防御率3.06を記録。昨季は27試合10勝8敗、防御率3.92でQSは21年が16、昨季は11だった。

⇒ 2023年日韓22球団 春季キャンプ+WBC日韓代表日程表(ストライク・ゾーン)

⇒ サムスン ライオンズ紹介(ストライク・ゾーン)

(関連記事:「吉田クンより上」 落合コーチ絶賛の韓国U18代表ドラ1右腕

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

室井昌也の最近の記事