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リーグ35年ぶりの18連敗。ハンファが球界創成期のワースト記録に並ぶ

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
無観客の中、ぬいぐるみを配置するイベントの様子(写真:ハンファイーグルス)

ハンファイーグルスは12日に行われた、地元・テジョン(大田)でのトゥサンベアーズ戦に2-5で敗れて、5月23日から続く連敗を18とした。KBOリーグでの18連敗は発足4年目だった、1985年のサムミスーパースターズに並ぶ、最多連敗タイ記録だ。

◇ハンファの18連敗の記録

<1>5月23日 0- 3 NC(チャンウォン)

<2>5月24日 5- 10 NC(チャンウォン)

<3>5月26日 0- 3 LG(テジョン)

<4>5月27日 4- 15 LG(テジョン)

<5>5月28日 0- 3 LG(テジョン)

<6>5月29日 6- 8 SK(インチョン・SK)

<7>5月30日 3- 9 SK(インチョン・SK)

<8>5月31日 4- 6 SK(インチョン・SK)

<9>6月2日 3- 15 キウム(テジョン)

<10>6月3日 2- 6 キウム(テジョン)

<11>6月4日 3- 7 キウム(テジョン)

<12>6月5日 2- 13 NC(テジョン)

<13>6月6日 2- 14 NC(テジョン)

<14>6月7日 2- 8 NC(テジョン)

<15>6月9日 3- 9 ロッテ(プサン・サジク)

<16>6月10日 2- 12 ロッテ(プサン・サジク)

<17>6月11日 0- 5 ロッテ(プサン・サジク)

<18>6月12日 2- 5 トゥサン(テジョン)

ハンファはここまで34試合を戦い、7勝27敗で最下位の10位。昨季は9位と低迷する中で、ワーウィック・サーポルト、チャド・ベルの両外国人投手が2けた勝利を挙げたが、今季はここまでサーポルト2勝、12日に先発したチャド・ベルは勝ち星を手にしていない。

打線ではキム・テギュン(元千葉ロッテ)、ジャレド・ホイングら中軸を担う選手が軒並み低迷。オフの目立った補強もなく、若手の成長を待っている状況下でチーム打率、防御率ともに最下位に沈んでいる。

ハンファは14連敗した7日にハン・ヨンドク監督(55)が辞意を表明し、9日のロッテジャイアンツ戦からは、チェ・ウォンホ2軍監督(47)が1軍の監督代行を務めている。

35年前、今回のハンファと同じく18連敗を喫したサムミ。そのチームには日本プロ野球(NPB)でプレーしていた選手が在籍していた。元広島内野手の木山英求(65、登録名イ・ヨング)さんは当時について、「13か14連敗したのは覚えていますけど、18連敗でしたか」と聞き返した。

東京・西小山で広島つけ麺「麺屋求」を営む木山英求さん(写真:ストライク・ゾーン)
東京・西小山で広島つけ麺「麺屋求」を営む木山英求さん(写真:ストライク・ゾーン)

(関連記事:カープから創成期の韓国球界に渡った元内野手 東京で「広島つけ麺」に捧げる余生

というのも木山さんは連敗中、テグ市民球場でのサムスンライオンズ戦で三塁の守備時に腰を痛めて途中欠場。その後、治療のため一時、日本に戻っていた。木山さんが不在の間もチームは負け続け、連敗は18で止まった。

当時のチーム状態について木山さんは「リーグが発足したばかりでしたからね。どうしたら勝てるようになるかと、球団に話をしに行ったこともあります」と振り返る。

サムミには木山さんとともに83年に広島から移籍した福士敬章(チャン・ミョンブ)投手が在籍。福士投手は83年に60試合427回1/3という驚異的なイニング数を投げて30勝を挙げ、最多勝を獲得。福士の活躍でチームは貯金5でAクラス(3位)入りしている。

翌年は261回2/3、そして85年も246回を投げたが、超人的な孤軍奮闘は続かず、18連敗した年の成績は11勝25敗だった。

(関連記事:カープV戦士から韓国で悲劇のエースに 故・福士元投手を描いた映像作品を美大生が公開

連敗当時のサムミナインの逸話として、「連敗が続くチームの雰囲気を変えるため、『みんなで丸刈りにしよう』と決起したところ、福士投手が『頭を丸めても野球はうまくならない』と言って断念した」という話がある。

2005年にイベントで再び集ったサムミのOBたち(写真:ストライク・ゾーン)
2005年にイベントで再び集ったサムミのOBたち(写真:ストライク・ゾーン)

◇35年前、サムミの18連敗の記録

<1> 3月31日 0- 3 ロッテ (プサン・クドク)

<2> 4月2日 0- 6 サムスン (インチョン・トウォン)

<3> 4月5日 3- 5 OB (ソウル・トンデムン)

<4> 4月6日 3- 9 OB (ソウル・トンデムン)

<5> 4月7日 3- 13 OB (ソウル・トンデムン)

<6> 4月9日 3- 8 MBC (インチョン・トウォン)

<7> 4月10日 2- 14 MBC (インチョン・トウォン)

<8> 4月12日 0- 3 サムスン (インチョン・トウォン)

<9> 4月13日 7- 10 サムスン (インチョン・トウォン)

<10>4月14日 3- 8 サムスン (インチョン・トウォン)

<11>4月16日 0- 16 OB (インチョン・トウォン)

<12>4月20日 1- 6 サムスン (テグ市民)

<13>4月21日 1- 5 サムスン (テグ市民)

<14>4月22日 4- 5 サムスン (テグ市民)

<15>4月23日 4- 7 ロッテ (プサン・クドク)

<16>4月24日 0- 2 ロッテ (プサン・クドク)

<17>4月27日 7- 15 ロッテ (インチョン・トウォン)

<18>4月29日 3- 9 ロッテ (インチョン・トウォン)  

※OBは現在のトゥサン、MBCはLG

今とは時代が大きく異なる、35年前のリーグ創成期のワースト記録に並んでしまったハンファ。この不名誉な記録を塗り替えることなく、連敗を18で止めることはできるか。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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