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東京五輪の1年延期で2021年の野球界は国際大会が目白押し?

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
プレミア12決勝戦後に握手する稲葉篤紀、金卿文両監督(写真:スポーツ朝鮮)

国際オリンピック委員会(IOC)は24日、理事会で2020年夏に開催を予定していた東京オリンピック・パラリンピック(五輪)の1年程度の延期を決定した。

東京五輪の野球競技には6つの国と地域が参加。既に日本、韓国、イスラエル、メキシコの4チームが出場権を手にし、残り2チームは世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催するアメリカ大陸予選と世界最終予選で決まる予定だ。

東京五輪が延期される来年2021年はその他の野球の国際大会も予定され、3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がある。

メジャーリーグベースボール(MLB)機構と同選手会が共同設立したWBCインクが主催するWBCは2006年に第1回を行い、2009年からは4年に一度行われている。

次回第5回大会には20チームが参加。既に16チームの出場が決まり、東京五輪に出場する4か国はいずれもその中に含まれている。

五輪、WBCの両大会に日本と韓国はプロの代表選手が出場するが、この両国のリーグは2021年11月にアジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)の実施を予定している。

日本(NPB)、韓国(KBO)、台湾(CPBL)の3つのプロリーグに所属する24歳以下を中心(※)とした選手が出場するこの大会は、2017年11月に第1回を行い、第1回の時点では第2回を2021年に開催予定としている。

(※1997年1月1日以降生まれの24歳以下あるいは入団3年以内の選手。その他オーバーエイジ枠として3名が出場可能。第1回大会の出場資格に基づく)

この3チームのうち、台湾は現時点で五輪出場権を得ていないが、予選を勝ち上がれば2021年はアジアの3チームがWBC、五輪、APBCの3大会に参加することになる。

APBCはトップチームが参加する大会ではないが、NPBの24歳以下では昨秋行われたプレミア12で山本由伸(オリックス)が代表入り。また代表以外では村上宗隆(ヤクルト)、清宮幸太郎(日本ハム)、佐々木朗希(千葉ロッテ)などが有資格者となり、来年の五輪代表選手がAPBCにも出場する可能性はある。

五輪の延期を受けて侍ジャパン強化委員会はトップチームを率いる稲葉篤紀監督(47)に、契約延長を要請するとした。五輪での金メダル獲得を目指してきた稲葉監督にとって、契約延長を受諾した場合、WBCでの世界一奪還という新たな目標も生まれることとなった。

稲葉監督が来年の東京五輪で任期を終えると、新たな日本代表監督はAPBCが初陣となる可能性が高い。その場合、2017年に指揮官に就任した稲葉監督と同じ道を歩むこととなる。

一方、韓国代表チームを率いるキム・ギョンムン(金卿文)監督(61)も稲葉監督と同じく、2020年夏に任期を終える予定だった。しかし五輪が延期になったことでWBCも指揮を執る可能性が高くなった。

25日、キム監督に電話インタビューを行った韓国・聯合ニュースのハ・ナムジク記者によると、キム監督は「東京五輪の延期は選手たちの健康を考えれば合理的な決定だ」とした。

また自らの去就についての言及は避け、「今、KBOは今季の公式戦開催問題に集中する時期。五輪の延期で代表チームの運用に余裕が生まれたので、シーズンのことを優先して欲しい」と話したという。

五輪の1年延期は決まったが、開催時期など不確定要素は多く、WBC、APBCの来年実施に関しても今後、検討されるものと思われる。新型コロナウイルスの感染終息への道のりは険しいが、もし終息が世界的に進み、来年に予定された大会がすべて行われた場合、2021年は野球界にとって非常に熱い年となる。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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