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巨人戦で安打のハンサム新助っ人は沖縄にルーツがあるクォーター

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
サムスンの新外国人選手、タイラー・サラディノ内野手(写真:ストライク・ゾーン)

15日に沖縄・那覇で行われた巨人対サムスンライオンズの練習試合は巨人が5-2で勝利。

敗れたサムスンは新外国人選手、タイラー・サラディノ内野手(前ブルワーズ、30)が3番ショートで先発出場し、初回にチーム初出塁となるレフト前ヒットを放った。

巨人戦でヒットを放ったサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)
巨人戦でヒットを放ったサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)

サラディノは身長183cm、体重90kg。筋肉質な体つきは、これまで韓国球界にやってきた外国人選手と比べると小柄に見える。

そして黒髪に茶褐色の瞳でチームに溶け込んでいる姿を見ると、メジャーから来た選手であることを一瞬忘れてしまう。むしろ、髪を金色に染めているキム・サンス、パク・ヘミン、パク・チャンドらの姿の方が目に飛び込んでくる。

そのサラディノのことが気になって調べると、2016年7月に青池奈津子さんが東京スポーツに寄稿した以下の記事を見つけた。

4000キロ以上かけ車で応援…祖父のおかげで野球選手に」(東京スポーツ)

記事によるとサラディノはフィリピン人の祖父と日本人の祖母の血をひいた、いわゆるクォーター。アジアにルーツがある。それを知ってサラディノに親近感がわくことに合点がいった。

サラディノに自身のルーツについて尋ねると、曾祖母が沖縄の出身だと教えてくれた。彼に「顔立ちに親しみを感じる」と話すと、「アメリカでは中南米系の顔だと言われていたよ」と言って微笑んだ。

サムスンの外国人打者は昨季までダリン・ラフ内野手(33)が在籍。ラフは3年間で86本塁打、350打点を記録し、1年目の2017年には打点王になるなど主に4番として活躍した。しかし契約交渉がまとまらず、代替の助っ人として加入したのがサラディノだ。

長距離打者のラフに対し、サラディノのメジャー5シーズンでの本塁打数は326試合で19本。両者のタイプは大きく異なる。また首脳陣は「サラディノは守備が上手いので、ラフの代わりの一塁手として使うのはもったいない」と話し、現在サラディノはショートを守っている。

サムスンの昨季のショートはイ・ハクチュ(29)が務めていたが、オフの球団との年俸交渉が進まず、キャンプには遅れて合流した。サラディノは今後もショートを守るのか、それともイ・ウォンソク(33)の一塁へのコンバートで空いたサードに移るのか、チーム事情によって変動がありそうだ。

ショートで守備練習をするサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)
ショートで守備練習をするサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)

サラディノはここまで2週間のキャンプについて、「基本的なテクニックの練習に多くの時間を使う」とメジャーと韓国のキャンプの違いを口にした。

カリフォルニアで生まれ、ゆかりあるアジアに渡ってきた、優しく穏やかなプレーヤー。彼は低迷が続くチームで、どのような役割を果たすか。

通訳を介してチームメイトと談笑するサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)
通訳を介してチームメイトと談笑するサラディノ(写真:ストライク・ゾーン)

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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