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新球団はネット証券会社 「キウムヒーローズ」誕生。出陣式でユニフォームお披露目<韓国KBOリーグ>

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
左からソ・ゴンチャン、パク・ピョンホ、キム・ハソン(写真:ストライク・ゾーン)

今季から新たなチーム名を名乗るキウムヒーローズが15日、ソウル市内のホテルで出陣式(現地呼称・出帆式)を行い、ユニフォーム、シンボルマークなどをお披露目しました。

出陣式にはチームの4番打者、パク・ピョンホ内野手をはじめ、チェ・ウォンテ投手、ソ・ゴンチャン内野手、キム・ハソン内野手、イ・ジョンフ外野手がユニフォーム姿で出席。ユニフォームデザインに大きな変更はなく、胸に「KIWOOM」、帽子には「K」の頭文字が施されました。

新エンブレムとイ・ジョンフ外野手(写真:ストライク・ゾーン)
新エンブレムとイ・ジョンフ外野手(写真:ストライク・ゾーン)

シンボルカラーはこれまでのヒーローズのイメージを継承し、濃い目のワインレッドのバーガンディカラーが採用されています。

(写真:ストライク・ゾーン)
(写真:ストライク・ゾーン)
新球団歌に合わせて踊るチアリーダー(写真:ストライク・ゾーン)
新球団歌に合わせて踊るチアリーダー(写真:ストライク・ゾーン)

ヒーローズは「ネーミングライツ球団」

KBOリーグは球団の多くが財閥系企業を親会社としていますが、2008年に新規参入したヒーローズはスポンサー企業による球団命名権料によって運営される、韓国唯一のネーミングライツ方式の球団です。

07年に資金難で解体となったヒョンデユニコーンズと入れ替わる形で球界入りしました。

ヒーローズは初年度のウリヒーローズの後、昨年まで9シーズンはタイヤメーカーのネクセンタイヤがスポンサーの「ネクセンヒーローズ」として活動。昨年契約を満了しました。

新たなパートナーはネット証券会社

昨秋、ヒーローズの命名権をネット証券会社の最大手・キウム証券が取得。「キウムヒーローズ」としてスタートを切りました。契約期間は5年で命名権料は年間100億ウォン規模(約10億円)とされています。

キウム証券は近年、マサン(馬山)球場のスコアボード上の広告をはじめ、プロ野球への広告露出に積極的に参入。大きな宣伝効果を得たことから今回の決断に至りました。

二遊間を表す言葉を用いて「キウム証券とヒーローズはキーストンコンビ」と話したキウム証券のイ・ヒョン代表理事(写真:ストライク・ゾーン)
二遊間を表す言葉を用いて「キウム証券とヒーローズはキーストンコンビ」と話したキウム証券のイ・ヒョン代表理事(写真:ストライク・ゾーン)

補強に頼らず育成により成績アップ

ヒーローズは他球団のように親会社からの支援がないため黒字化を基本方針とし、選手の大型補強は行っていません。

しかし発足6年目に初めてポストシーズンに進出すると、翌14年には韓国シリーズに初進出。代表入りしているキム・ハソン内野手、イ・ジョンフ外野手をはじめとした有望な若手選手を多数輩出するなどして安定した成績を残しています。

一方で数々の金銭問題も…

その一方で過去には運営資金捻出のために主力選手を放出。またトレードの際に相手球団から公表されていない裏金を受け取っていた事実も明らかになりました。

加えて球団発足時から組織を率いていたイ・ジャンソク前オーナーの横領、背任が発覚。さらに球団の持ち株売却に関する詐欺行為もあり、イ・ジャンソク前オーナーは昨年12月に3年6か月の実刑が確定し服役中です。

イ・ジャンソク前オーナーは昨年KBOリーグから永久失格処分を受け、ヒーローズ球団は新体制により再発防止策をKBOに提出しています。

「キウム」を旗印に再出発

「キウム」とは韓国語で「育てる」という意味。育成を通して発展を遂げたヒーローズは同じ言葉を掲げる新たなパートナーとともに2月1日、アメリカ・アリゾナ州でのキャンプで2019年のスタートを切ります。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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