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ノーヒットノーランより珍しい? 今年日韓で達成の「3者連続3球三振」

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
自身2度目の「3者連続3球三振」を記録したカン・ユング投手(写真:NCダイノス)

7月27日、巨人の山口俊投手が公式戦史上79人目、通算90度目のノーヒットノーランを達成しました。

ノーヒットノーランはとても偉大な記録ですが、それよりも珍しい投手の記録が今年、日本、韓国の両球界で達成されています。それは「1イニング3者連続3球三振」です。

日本では5月16日、福岡ソフトバンクのリバン・モイネロ投手が東北楽天戦でマーク。日本球界では18人目、19度目だそうです。

一方、韓国では7月18日、NCダイノスのカン・ユング投手がSK戦で達成。史上6度目の記録ですが、カン・ユング投手にとって3者連続3球三振は2012年4月11日のSK戦以来、これが2度目でした。

(映像:JTBC News)

9球の内訳は見逃し、見逃し、空振り(三振)。空振り、見逃し、空振り(三振)。空振り、ファール、空振り(三振)。

この珍しい記録達成についてカン・ユング投手は「特にすごいことをやったとは思わない」と涼しい顔。2度目の達成となった理由については「ストレートに球威があって、2ストライク後に空振りが取れてこそできるのではないか」と答えました。

この記録はカウント0-2と追い込んだ後に、捕手がボール球を要求すると達成できません。その点についてカン・ユング投手は「僕はキャッチャーが(ストライクゾーンから)外して構えるのが好きじゃない」と早いカウントで勝負することを望んでいて、その結果が3球三振につながっています。

またカン・ユング投手が3人続けて三振を奪ったのはノ・スグァン、ユン・ジョンウ、ジェイミー・ロマックというSKの1~3番打者でした。6年前は4~6番でいずれも下位打線が相手ではないところがカン・ユング投手の記録達成の価値を高めています。

カン・ユング投手は「(記録達成は)運が良かったんだと思う。今後同じような状況で3人目の打者がノーボール2ストライクの時は意識してしまってできないのではないか?」と話しました。

韓国プロ野球37年の歴史で6度、5投手しか達成していない1イニング3者連続3球三振。この痛快で貴重な記録を次はいつ、誰が成し遂げるでしょうか。

※本記事は筆者がスポーツ朝鮮に韓国語で寄稿したコラムを、スポーツ朝鮮の承諾を得て日本語で加筆し再編集して執筆したものです。

 本項目は韓国KBOリーグ各球団から写真使用の許可を得ています。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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