立憲民主党と国民民主党の違いが際立った代表質問

衆院代表質問に立つ国民民主党の玉木雄一郎代表(写真:つのだよしお/アフロ)

やはり、拙速な合流はしなくてよかったと多くの人が思ったのではないだろうか。

1月22日、衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表による代表質問が行われたが、両党の違いがよくわかる質問内容であった。

政権追及を重視する立憲民主党

立憲民主党・枝野代表による代表質問の時間配分(動画をもとに筆者作成)
立憲民主党・枝野代表による代表質問の時間配分(動画をもとに筆者作成)

立憲民主党の枝野代表は、冒頭から安倍晋三首相主催の「桜を見る会」やIR汚職、辞任した2閣僚に関する「政治とカネ」の問題を重点的に追及。

後半で政策的諸課題についても触れてはいるが、「支え合う安心」、「豊かさの分かち合い」、「責任ある充実した政府」といった抽象的なビジョンにとどまり、それらを実現するための具体的な政策、裏付けはほとんど語られず、将来的な与党候補である野党第一党としては物足りない内容であった。

 私は、潜在力を引き出す新しい道を切り拓くため、安倍政権に代わるもう一つの政権の選択肢を示します。

 第一に、「支え合う安心」を作ります。

 本来、超高齢社会とは、人類が夢見てきた長寿社会にほかなりません。そのこと自体は望ましいことのはずです。ところが、老後の不安が大きくなる一方だから、高齢化社会を後ろ向きに受け止めざるを得ない方が多くなっています。

 人口減少は続いていますが、潜在的なものも含めれば、子どもを産み育てたいと望む方々は多く、その希望をかなえることが可能な社会を作れば、一定程度歯止めをかけることができます。

 老後も、子育てや教育も、かつては個人や家庭に委ねられていました。しかし、今の日本では、いずれも自分の力だけではどうにもなりません。自己責任に帰すのでは不安が広がるばかり。今こそ、自己責任論から脱却し、社会全体で「支え合う安心」の仕組みを構築しましょう。私は、これこそが、政治の最大の役割であると明確に位置づけ、その役割を担う新しい政権を作ります。

出典:【衆院本会議】施政方針演説に対する代表質問 枝野代表が安倍政権に代わる政権の選択肢示す

もちろん、「桜を見る会」などの追及も重要ではあるが、代表質問で約3分の1も時間を割く価値はあったのか、追及は「桜を見る会」問題の火付け役である共産党に任せればよかったのではないか、疑問は拭えない。

社会保障制度改革においては、「高所得高齢者について、税を原資とする部分の支給制限、いわゆるクローバックの仕組みを検討すべき」にまで踏み込んだのは高く評価できるが、全体的には具体性に欠け、「対決」を重視する立憲民主党らしい内容であった。

枝野代表による代表質問全文

具体的提案を重視する国民民主党

国民民主党・玉木代表による代表質問の時間配分(動画をもとに筆者作成)
国民民主党・玉木代表による代表質問の時間配分(動画をもとに筆者作成)

一方、国民民主党の玉木代表は、冒頭でIR汚職について少し触れた後は、個別のエピソードも交えながら、女性や子ども・若者に関する問題への具体的提案を訴えた。

86万4千人。昨年生まれた日本人の数です。明治32年に統計を取り始めて以来、始めて90万人を割り込みました。私の生まれた1969年の出生数が189万人。約50年で100万人減ったわけです。2017年、安倍総理は、少子化を「国難」と位置付けて衆議院を解散しましたが、施政方針演説を聞いても、「国難」突破の本気度が全く感じられません。結局、選挙のときのキャッチフレーズに過ぎなかったのですか。

どうして子どもが生まれないのか、産みにくいのか。もはや、従来の延長線上の施策をいくら重ねても効果が上がらないことは明白です。私は「男性中心社会」や「大人目線」、「会社中心」、「経済優先」といった、旧来の価値観や社会のあり方そのもの、もっと言えば、文明のあり方自体を大きく転換しなければ、今のトレンドを変えることはできないと思います。今日は、具体的な提案も含めて質問するので、どうかごまかさずに正面からお答えください。

出典:国民民主党・玉木代表の本会議質問

こちらも、従来から「対決よりも提案」を重視してきた国民民主党らしい内容であり、両者のスタンスの違いがよくわかったのではないだろうか。

より直接的に言えば、ずっと「野党」であり続けるのか、(今は野党だとしても)あくまで「与党候補」であるのか、その意識の違いである。

「反安倍」なのか、「新しい政権」なのかと言い換えても良い。後者であれば具体的な政権構想を打ち出すのが前提である。

そして、こうした根底にある哲学的な違いを踏まえれば、それらを無視した拙速な合流はやはり無理があり、途中で瓦解するのは誰の目にも明らかである。

本当の意味で「一つの大きなかたまり」を目指すのであれば、個別の政策以上に、どういうスタンスの政党を目指すのか、すり合わせが重要であろう。

玉木代表による代表質問全文

党首討論の定例化・夜間開催の実現を

ただ、こうした両党の「違い」が国民に伝わっているかというと、そうではない。

今回の代表質問を生中継で見たり、テキストで全文読む人は稀であるのに加え、現状のスキャンダル重視のマスコミ報道では、なかなかこうした内容が報じられることは少ないからだ。

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昨年の臨時国会では一度も党首討論が行われなかったが、やはり各党の違いを見るためには党首討論は重要であり、政治情勢に左右されない党首討論の定例化、特に多くの国民が見やすい夜間での開催を期待したい。

すでに超党派「平成のうちに」衆議院改革実現会議が「党首討論の定例化・夜間開催の実現」を提言しており、与野党の国会対策委員長同士の「合意」が待たれる。

1.党首討論の定例化・夜間開催の実現

平成26年「国会審議の充実に関する申し合わせ」でも党首討論を1力月に1回開催することとされていたが、国民への説明責任を強化するため、例えば、今後は2週間に11回、討論のテーマを決めて党首討論を開催、また、党首討論は夜に開催し、より多くの国民が視聴できるようにするなど、充実した討議が行われる環境を整備すべきである。

出典:超党派「平成のうちに」衆議院改革実現会議提言(2018年10月25日)