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リーグワン大物来る理由は金銭だけじゃない?各国オールスター総まとめ【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
28日に会見したコルビ(左)とケイン(写真:REX/アフロ)

 12月9日から各地で開かれるジャパンラグビーリーグワンは、世界的選手が注目しているようだ。

 長らくオールブラックスことラグビーニュージーランド代表で主将を務めたサム・ケインは、かねてその戦いに触れたことがあったという。

写真:REX/アフロ

 11月28日、そのリーグワンの東京サントリーサンゴリアスの入団会見でそう明かした。

 以前、サンゴリアスにボーデン・バレット、ダミアン・マッケンジーといったニュージーランド代表選手がそれぞれ1季ずついたのを踏まえて語った。

「ニュージーランドでもリーグワンの試合が放映されることがありました。ここで私の旧友がプレーしているのもあり、試合をよく拝見していました。かなりスタンダード、レベルが上がっているなか、私にとってもラグビー選手としての試練があると思っています。今回の経験を通し、成長できると思っています。スピード、アジリティはリーグワンで大きな要素となってくる。自分のラグビースキルを上げられることを楽しみにしています」

 ケインは先のワールドカップフランス大会決勝でバレット、マッケンジーらとともにニュージーランド代表のメンバーとしてプレー。そのニュージーランド代表に勝った南アフリカ代表にもリーグワンのクラブに在籍する選手がずらり。両軍通算46名中、実に14名がこれから日本で戦うわけだ。

ニュージーランド代表のアーロン・スミスに南アフリカ代表のファフ・デクラークがタックル。2人は日本でも対戦しそう。
ニュージーランド代表のアーロン・スミスに南アフリカ代表のファフ・デクラークがタックル。2人は日本でも対戦しそう。写真:ロイター/アフロ

 他にもオーストラリア代表をはじめ各国代表勢が揃うだけに、リーグワンの選手だけで仮想の世界選抜をいくつも作れてしまう。

 本稿では、リーグワンの在籍選手だけでワールドカップの決勝へ進んだ国の選手によるベストチーム(23名ずつ)を構成。特別版として、両国以外の代表選手による「世界選抜」も作った。それぞれ、当該国の出身者で他国のジャージィを着た選手、当該国に関する試合やチームに縁の深い日本人選手なども助っ人として加えている(カッコ内はチーム名/キャップ数、★はワールドカップフランス大会出場、※は現在故障中)。

リーグワンの在籍選手だけで作った南アフリカ代表スコッド

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表53キャップ)★

2,マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/南アフリカ代表64キャップ)★※

3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ/日本代表29キャップ)★

4,ルード・デヤハー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/南アフリカ代表65キャップ)

5,フランコ・モスタート(三重ホンダヒート/南アフリカ代表73キャップ)★

6,ピーターステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ/南アフリカ代表76キャップ)

7,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/日本代表19キャップ)★

8,クワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ/南アフリカ代表40キャップ)★

9,ファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス/南アフリカ代表55キャップ)★

10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表37キャップ)★

11,チェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス/南アフリカ代表31キャップ)★

12,ダミアン・デアレンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ/南アフリカ代表78キャップ)★

13,ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス/南アフリカ代表68キャップ)★

14,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表18キャップ)★

15,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス/日本代表55キャップ)★

16,フランコ・マレー(浦安D-Rocks/―)

17,三上正貴(東芝ブレイブルーパス東京/日本代表35キャップ)

18,ヴァルアサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表30キャップ)★

19,ルアン・ボタ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/―)

20,タイラー・ポール(浦安D-Rocks/―)

21,流大(東京サントリーサンゴリアス/日本代表36キャップ)★

22,田村優(横浜キヤノンイーグルス/日本代表70キャップ)

23,シェーン・ゲイツ(浦安D-Rocks/日本代表4キャップ)

リーグワンの在籍選手だけで作ったニュージーランド代表スコッド

1,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表17キャップ)★

2,デイン・コールズ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/ニュージーランド代表90キャップ)★

3,山下裕史(コベルコ神戸スティーラーズ/日本代表51キャップ)

4,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京/日本代表11キャップ)★

5,ブロディ・レタリック(コベルコ神戸スティーラーズ/ニュージーランド代表109キャップ)★

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京/日本代表■キャップ)★

7,サム・ケイン(東京サントリーサンゴリアス/ニュージーランド代表95キャップ)★

8,アーディ・サベア(コベルコ神戸スティーラーズ/ニュージーランド代表81キャップ)★

9,アーロン・スミス(トヨタヴェルブリッツ/ニュージーランド代表125キャップ)★

10,リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京/ニュージーランド代表56キャップ)★

11,セタ・タマニバル(東芝ブレイブルーパス東京/ニュージーランド代表3キャップ、フィジー代表3キャップ)

12,マイケル・リトル(コベルコ神戸スティーラーズ/―)

13,ナニ・ラウマペ(コベルコ神戸スティーラーズ/ニュージーランド代表15キャップ)

14,チャールズ・ピウタウ(静岡ブルーレヴズ/ニュージーランド代表17キャップ、トンガ代表9キャップ)★

15,ボーデン・バレット(トヨタヴェルブリッツ/ニュージーランド代表123キャップ)★

16,アッシュ・ディクソン(NECグリーンロケッツ東葛/―)

17,ダニエル・ペレス(埼玉パナソニックワイルドナイツ/―)

18,木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ/日本代表8キャップ)

19,ジャクソン・ヘモポ(三菱重工相模原ダイナボアーズ/ニュージーランド代表5キャップ)

20,シャノン・フリゼル(東芝ブレイブルーパス東京/ニュージーランド代表33キャップ)★

21,オーガスティン・プル(日野レッドドルフィンズ/ニュージーランド代表2キャップ、トンガ代表6キャップ)★

22,リマ・ソポアンガ(清水建設江東ブルーシャークス/ニュージーランド代表16キャップ、サモア代表3キャップ)★

23,テビタ・リー(三重ホンダヒート/―)

リーグワンの在籍選手だけで作ったワールドカップフランス大会決勝進出国以外での世界選抜スコッド

1,小林賢太(東京サントリーサンゴリアス/―)

2,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表76キャップ)★

3,パディー・ライアン(リコーブラックラムズ東京/オーストラリア代表3キャップ)

4,マシュー・フィリップ(横浜キヤノンイーグルス/オーストラリア代表31キャップ)★

5,ジェイク・ボール(NECグリーンロケッツ東葛/ウェールズ代表50キャップ)

6,パブロ・マテーラ(三重ホンダヒート/アルゼンチン代表98キャップ)★※

7,リアム・ギル(浦安D-rocks/オーストラリア代表15キャップ)

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ/日本代表32キャップ)★

9,ウィル・ゲニア(花園近鉄ライナーズ/オーストラリア代表110キャップ)

10,クウェイド・クーパー(花園近鉄ライナーズ/オーストラリア代表76キャップ)

11,マリカ・コロインベテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ/オーストラリア代表59キャップ)★

12,ハドレー・パークス(リコーブラックラムズ東京/ウェールズ代表29キャップ)

13,サム・ケレビ(浦安D-rocks/オーストラリア代表49キャップ)

14,イズラエル・フォラウ(D-rocks/オーストラリア代表73キャップ、トンガ代表1キャップ)

15,リアム・ウィリアムズ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/ウェールズ代表95キャップ)★

16,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表41キャップ)★

17,中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ/日本代表9キャップ)

18,ラタ・タンギマナ(花園近鉄ライナーズ/―)

19,ベン・トゥーリス(花園近鉄ライナーズ/スコットランド代表26キャップ)

20,ネイサン・ヒューズ(リコーブラックラムズ東京/イングランド代表22キャップ)

21,ニック・フィップス(NECグリーンロケッツ東葛/オーストラリア代表72キャップ)

22,バーナード・フォーリー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/オーストラリア代表76キャップ)

23,ガレス・アンスコム(東京サントリーサンゴリアス/ウェールズ代表37キャップ)★

 海外経験が豊富で日本代表として4度のワールドカップに出た埼玉パナソニックワイルドナイツの堀江翔太は、「なぜ大物が日本に集まるのか」という類の問いかけに応じたことがある。

写真:つのだよしお/アフロ

 ギャランティが高いことが一因なのではとの仮説に「8、9割そんなもんかな」としつつ、こう続ける。

「シーズンが短くて、フィジカル高くなくて、お金をたくさんくれるし、それと、(自国から日本に)行って下手くそにならないってとこじゃないですか? (以前より日本の)レベルが高いから、楽しいと思える。ただただ流してやれるようなところじゃないから、自分のスキルも向上できる。南アフリカの選手がたくさん(日本から)ワールドカップに行って優勝したというのも、レベルが下がらずそのままで、もしかしたらスキルが上がっているかもしれないし。僕も、逆の立場(強豪国の主力選手)だったらそうする」

 試合の質を高めるのは選手のみにあらず。今季は戦力補強を成績に繋げづらかったチームが、コーチングやチームビルドにテコ入れを図っている。

 今季はスティーラーズが元オーストラリア代表ヘッドコーチのデイブ・レニーを新指揮官に招いており、ヴェルブリッツが元ニュージーランド代表ヘッドコーチのスティーブ・ハンセン ディレクター・オブ・ラグビーをより長期間にわたって稼働させている。

 ケインとともにサンゴリアスの新加入のコルビは、こう展望する。

「自分が思うに、チームが成功を収めるのに大事なのはカルチャーだと思います。サンゴリアスにはいい選手、マネジメントスタッフがいる。チームのためにベストを尽くすのをいとわない人が揃っているので、カルチャーは申し分がない。選手はハードワークして、ゲームデイに身を粉にするに尽きる。自分の家族、環境などすべてが揃うことで、初めて新しい道が開くと思っています」

写真:REX/アフロ

参考資料:ワールドカップフランス大会私的ベスト15【ラグビー雑記帳】

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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