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元狼軍ジャバ・ブレグバゼ、スピアーズ合流。マルコム・マークスとの関係は?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ボールを持つのがブレグバゼ(写真提供・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

 ジャパンラグビーリーグワン・1部のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに、ジョージア代表67キャップのジャバ・ブレグバゼが加わった。

 今季のリーグワンに向けた追加入団選手で、シーズン終了(5月末)までの短期契約。翌年度以降のことは、総合的な判断で決まるという。4月上旬までに合流していた同選手は15日、オンラインで会見した。

「妻も日本のライフスタイルが好きで、チャンスをもらえたらまた日本に来たいと思っていました。今回、スピアーズからの話には即答。オレンジアーミーの一員としてできる。全力でチームにコミットしたいです」

 身長180センチ、体重105キロで間もなく35歳。2018年からの3シーズンは、当時日本唯一のプロクラブだったサンウルブズに加わり、スーパーラグビーに出場。同リーグ初のジョージア人選手となった。

 現在12チーム中3位とプレーオフ進出に近づくスピアーズでは、南アフリカ代表46キャップのマルコム・マークスが故障で離脱中だ。

 マークスと同じフッカー(スクラム最前列中央)のポジションを務めるブレグバゼに、フラン・ルディケヘッドコーチは「ジャバは特にセットプレーの面で国際経験がある。短期契約ですが、現在の問題解決ができる」と期待する。

「2~3週前から(スピアーズの)スクラムでペナルティが増えたり、その部分での正確性に足りなかったりするところがありました。ジャバの手助けで全体がどう成長するのか、楽しみにしています」

 本人は、15分間の取材時間を通して日本への愛着を強調した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今回の来日前までは。

「サンウルブズの活動が終わってから、コロナの関係もありジョージアに帰っていました。2020年から21年の夏までは代表で活動、そこからはフランスのSUアジャンというクラブと2年契約をしましたが、その契約を解除して、クボタに合流しました。

 サンウルブズでプレーしていた時からまた日本でプレーしたくて、家族も日本に来たがっていたんです。コロナの状況でジョージアにいた時からそのための活動をしていました。今回はフランスでプレーしているさなか、スピアーズでプレーする機会をいただいた。SUアジャン側に思いを話し、承諾してもらい、契約を解除してもらいました。

 フランスでいろんなことを解決し、ジョージアに戻ってからはビザを発行してもらい、日本に来られました。SUアジャン側にも感謝しています」

――スピアーズの印象は。

「こちらへ来る前からリーグワンのハイライトの一部を見て、スピアーズがここまでいい感じできているのがわかっていた。モール、スクラムにプライドを持っているのもわかっていました」

――スピアーズと合流後は。

「サンウルブズ時代にライフスタイルを経験しているので、環境への適応は難しくない。スピアーズにはお互いに助け合う文化もあるので、チームになじむのも簡単でした。まだ合流して1~2週間しか経っていませんが、もっと長くいるように感じます。スピアーズがサポートしてくれているので、そこには家族ともども感謝しています。

 サンウルブズでやっていたメンバー(立川理道キャプテンらのことか)は、プレースタイルの説明をしてくれました。スピアーズのフィジカルなラグビースタイルは自分も好きです」

――リーグ戦終盤のタイミングで入団。チームから求められる役割は。

「私はフッカーなので、まずはラインアウトとスクラムに全力を注ぎます。ほかのこともコーチ陣の求めに応じてやっていきますが」

――サンウルブズ時代の仲間とは連絡を取り合ったか。今後、楽しみな対戦はあるか。

「来日が決まった後、当時のアタックコーチだったスラッシさん(スピアーズの田邉淳アシスタントコーチ)に連絡を取りました。彼のチームでできることはハッピーでした。サンウルブズでのプレー経験は自分のキャリアのなかでのハイライトです。相手チームにどのサンウルブズの選手がいたとしても、いい思い出を作れるようにプレーしたいです」

――サンウルブズのファンへメッセージは。

「世界レベルのベストファンと言えます。毎週、毎週、サンウルブズは望んでいた結果を出していたわけではありませんでしたが、毎週成功できるように頑張るなか、変わらずに応援してくれていました。秩父宮での最終試合でも多くの方が来てくれた。勝敗に関係なくハッピーフェイスでいてくれた。改めて感謝したいです。サンウルブズ時代の経験が私のなかでのハイライトだった理由の一つには、ファンが素晴らしかったこともあります」

 ブレグバゼの会見前には、指揮官のルディケも取材に応じた。マークスの故障状況や同選手復帰後のブレグバゼの立ち位置について聞かれ、このように説明する。

「マルコムは母国に帰っています。南アフリカ代表と我々と、両方のメディカルチームで連携を取り、リハビリを進めてくれています。リカバリーが順調なので、マルコムは5月初めのタイミングで戻ってくれると考えています。(日本に)戻ってきて、ランニングチェックなどのプロトコルを経て、(試合に)出られる状況が揃ってから、起用法、復帰のタイミングについてもお話しできると思います。ジャバとの兼ね合いについても、揃った2人のコンディションを見極めて考えたいです」

 本人にとっては、これからのプレー機会はプレーオフや翌年度に向けたオーディションともなりうる。会見ではこんなやりとりもあった。

――マークス選手が復帰を目指していますが。

「マルコムは世界のベストフッカーですが、私もベストを尽くします。そこから先はなるようにしかならない。もちろんラグビーはチームスポーツですし。先を見すぎず、その週、その週でベストを尽くす」

 自分のフォーカスは1か月後、何週間後ではなく、目の前の次の試合です。このチャンスをもらえたからには、ハードワークをし続ける。ワーキング、ワーキング、ワーキング…」

 ブレグバゼは17日の第13節(千葉・柏の葉公園総合競技場/対NECグリーンロケッツ東葛)に先発出場する。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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