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スクラムは最初のヒットで自信。帝京大学が早稲田大学に3年ぶり勝利!【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
会見前のフォトセッション(筆者撮影)

 2017年度まで大学選手権を9連覇した帝京大学が、11月3日、東京・駒沢陸上競技場での関東大学対抗戦Aの早稲田大学戦を29―22で制した。3シーズンぶりとなる同カードでの勝利により、開幕5連勝を達成した。

 同選手権で史上最多となる16度の優勝を誇る早稲田大学に対し、エリア合戦とスクラムで優位に立つ。7点リードで迎えた終盤こそ相手の連続攻撃に苦しめられたが、逃げ切った。

 試合後、岩出雅之監督、右プロップの細木康太郎主将、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞したフッカーの江良颯が会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

岩出監督

「学生が喜んでいる姿を久しぶりに見られて、嬉しく思います。早稲田大学の展開をどう止めるか。ディフェンスで頑張ろう。スクラムでプレッシャーをかけていこう。そこでの集中力を切らさずに…と、夏からの伸びしろも期待して臨みました。

 予想通り、早稲田大学の展開——特に河瀬(諒介)君のいいランニング——でかわされましたし、我々の足りていないところもあります。ただ、全般的によく走って(相手を)止めていた。比較的、我々の反則は少なかったのではないかとも思います(与えたペナルティーキックの数は相手の「8」に対して「4」)。攻守とも集中力を保ち、ストラクチャーを守りながら我々のラグビーをやれていたのではないかと思います」

細木

「この試合に対して長い時間、準備をしてきて、ゲームのなかでその準備の内容を発揮し、勝利できたことを嬉しく思います。今週から上位校が相手ということで、メンバー全員がどれだけゲームと同じような強度、意識で練習できるかを見つめてやってきました。

 ゲームのなかでうまくいかないことはありましたが、準備をしてうまくいったところもたくさん出た。きょう、勝利したことを嬉しく思い、次の明治大学戦に向けていい準備をしていきたいです」

江良

「まず、今日、自分がやるべきこととして、絶対にフォワードに声をかけ続ける、2年生ですけど、それと関係なく声をかけ続ける。80分間、そういう気持ちでいました。

 そのなかで、自分がしんどくなる部分も出てしまいましたけど、試合前には仲間の気持ちを受け取っていて…。ここに出してもらっている以上は、勝たなければいけない。しんどい部分を見せてはいけない。そうしてもう1回、チームメイトに声をかけ、自分も走り続けることを、意識しました。

 フォワードに対して声をかけ続けていい部分もあったんですが、間違えたコミュニケーションというものもあった。大事な試合になった時は、そうした軽いミスをなくさないといけない。コミュニケーションを取る以上、もっと責任を持って発言したいです」

 前半は両軍ともキックを多用。エリアを奪えたのは帝京大だった。中盤からのハイパントは相手の落球を誘い、直後のスクラムでは猛プッシュで反則を誘発。前半5分の先制トライもその流れで決まっており、続く23分には敵陣ゴール前左での相手ボールスクラムをターンオーバー。まもなく12―0とリードを広げた。

——スクラムについて。

細木

「早稲田大学戦に向けて変えたことは何ひとつなくて。今年1年、積み上げたものを正確に8人でやりきりました。

 早稲田大学さんの映像はたくさん見てきましたが、全ての相手に押し勝っている。なので、最初のスクラムで必ずプッシュしようと試合前から話していた。そしてヒットして、足を前に運べた。多分、8人とも、ヒットした瞬間に自信を持って押し込めた。そしてまたまた次のスクラムへ…と、試合を通して自分たちのスクラムを組み込んでいけたかなと思います」

岩出監督

「(元日本代表プロップで、長らくパナソニックの指導に携わってきた)相馬(朋和)君が10月から来てくれて、チームにいい刺激を与えてくれる。いろんな意味で学生ともエネルギーを使ってくれる。スクラムも専門職なので大きい存在です。ただ、それまで福田(敏克)というコーチも十分にやってくれている。1年間、福田コーチとフォワードのメンバーたちがやってきたことも称えたいですし、相馬君も大きな力になっている」

 前半終了間際には早稲田大学に攻め込まれ、接点での反則からスコアは12―3となる。帝京大学は後半の先手も相手に与えて12―10とされたが、その後も中盤からのハイパントとその後の競り合いで耐える。

 終盤はベンチワークも光る。後半12分、一気に3選手を交替。そのうちのひとり、ミティエリ・ツイナカウヴァドラは20分にトライを決める。17―10とした。

 ウイングに入ったツイナカウヴァドラは、続く22分頃、敵陣中盤左でジャッカルを繰り出す。相手の反則を誘う。好機を掴んだ帝京大は、26分、22―10とリードを広げた。

 27―10とリードを広げてからは、早稲田大学の連続攻撃に四苦八苦。試合終了間際も自軍ボールを相手に与え、自陣ゴール前まで攻め込まれた。

 しかし、最後は途中出場していたロックの山川一瑳がタックルし、接点へ1年生ながら先発したロックの本橋拓馬がカウンターラックを仕掛ける。ターンオーバー。辛くも逃げ切った。

——本橋選手について。

岩出監督

「最初は怪我で乗り遅れていたので、そこをどう上向いてくれるかが課題でしたが、彼の独特の強さ、意外な器用さ(がある)。青木(後述)とは違う味のある選手です。これからもっともっと大きくなっていく。日本代表として未来をしっかりと背負う自覚(を持ってくれれば)。学生時代にのんびりとした選手生活を送るのでなく、いまの日本代表の先輩たちを超えていくように…という基準で見ています。未来に期待できるような1日1日を送って欲しい」

——リザーブの選手が活躍した。

岩出監督

「これまでも厳しいゲームをしてきましたが、(これからの強豪との試合では)試合の強度もぐっと上がって、前半の消耗度(が増す)。体力と同時に気持ちも使っている。後半にああいう選手を集めることで、相手は嫌だと思っている。意図的にやっているところもあります」

——バックス陣について。

岩出監督

「今日の河瀬君のような派手なランニングのできる選手ばかりではないですが、出し惜しみしない選手(が多い)。15人のひとりとして本当に声を出し続けている。レギュラーには、我々のやってきた想定内の準備をしっかりやり抜ける選手たちの集まりとして頑張ってほしいと話しています。

 バックスに派手なプレーをする選手がいないだけであって、堅実なゲームメイクで安心を作ってくれる。(強力な選手の多い)フォワードで戦えるのは、ゴール前だけ。15人、どれだけ繋がっているか(が大事)。その部分は少し目立ちにくいですが、過去の派手な先輩たち(現パナソニックの松田力也、竹山晃暉らがいる)とは違ったチームワークを発揮してくれている。僕も信頼していますし、フォワードも信頼している。フォワードもイライラしていなくて、15人で根気強く攻めるところは攻め、守るところは守っている」

——開幕から出場してきた1年生フランカーの青木恵斗選手、2年生ナンバーエイトの奥井章仁選手が欠場していますが。奥井選手は当日に欠場が決まった。

岩出監督

「2人とも『出られるアピール』は凄いです。青木はこの間の日本体育大学戦のラストプレーで怪我をしていた。(本人は怪我を)隠したがるのですが、無理をせずに…と。

 奥井もちょっとしたところで怪我をしてしまった。今朝まで様子を見ていたのですが、『100パーセントでできないのなら、怪我を(次戦以降へ)持ち越してしまうし、パフォーマンスでチームに貢献できないとマイナスに傾く。出られないことをいい教訓にして次、頑張ろうか』と(伝えた)。

 きょうの試合に出られなくて敗戦すると、色んな意味で気持ちの整理が難しかったと思うんですけど、チームが勝ったことで、いい意味で競争のスタートラインにおごらずに立ってくれると期待しています。2人とも、大きなけがではありません」

 帝京大学は20日、東京・秩父宮ラグビー場で明治大学と全勝対決をおこなう。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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